12


ふわふわと心が彷徨う。

目の前には大好きなお師匠様。


「お師匠様、だぁーいすき」


いつものように猛アピールするとお師匠様はくっと微笑む。


そして――。


「俺も好きだよ、ローサ」


甘くて体の奥が疼くような声色がお師匠様の口から放たれ、私は嬉しくてお師匠様に抱きついた。



「――――っていう夢を見たの」


「ふうん」


お師匠様の魔法で眠らされたあと、どうやら魔法が切れた後も大爆睡をかましたらしい私は、お腹がすいたとキッチンへ顔を出した。


やれやれと呆れながらも料理をしてくれるお師匠様に嬉々として夢の話をしているわけなんだけど。

相変わらずお師匠様は冷たい。


「夢の中のお師匠様はすっごく優しくてかっこよかった。もっかいぎゅってしてほしい」


「もう一回もなにも、それはお前の夢の話だろうが」


ため息まじりのお師匠様は心底呆れた顔をする。


「むー。ケチ。意地悪。お師匠様のあんぽんたん」


頬を膨らませて悪態をついていると、ゴチンとゲンコツが落ちてきた。


「あいたっ」


「バカ言ってないで食え。また熱ぶり返すぞ」


「も一痛いよ。何で殴るのー。暴力的な人はモテないよ」


反抗心あわらにぶーぶー文句を言っていると、お師匠様が呟く。


「お前にモテてるから他に必要ないだろ?」


お師匠様は私の前にお皿を差し出す。

対面に座り、「早く食っちまえ」と言いながら自分もモソモソ食べだした。

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