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勇者たちと一緒に魔王を倒した後、この世界の平和と安寧を願ってきた。

身寄りのない子供たちを引き取ったのも世界を救うためのひとつのきっかけに過ぎない。


ローサたちを最初に引き取って以来、他にも何人か行き場を失った子供を受け入れてきた。

誰もがここを巣立っていき、自立して働いたり家族を作ったりと真っ当な人生を歩んでくれている。


ローサにも縁談の話が何件がきているし、ローサにもその旨伝えているのだが、――実はすでに断っている。


なぜなら俺がローサを手放したくないからだ。


実にバカげていると自分でも思う。

ローサの幸せを考えたら、さっさとこの家から出て行く方がいいに決まっている。


「なあ、お前はどうしたい?」


俺の気持ちを伝えたら、お前はどうするだろうか。


ローサが俺を好いてくれている気持ちは果たして恋愛の『好き』なのか、情の『好き』なのか、判断できないくらいに俺の心はローサに持っていかれている。


「う、ん……お師匠様……好き……」


寝言ですらそういう事を言うなんて、俺を試しているとしか思えない。

……思えないのだが。


俺はローサに手を伸ばす。

頬に張りついた髪をそっと払ってやり、その桃のように色づいた柔らかな頬にキスを落とした。


「俺も好きだよ、ローサ」


眠っていることを良いことに俺は呟く。

当然ローサには伝わっていないわけで……。


「……さて、仕事でもするか。ローサのせいで昼飯食いっぱぐれたな」


言い訳がましく口にして、仕事場へ下りた。

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