第9話 ハンターギルドでの買取り
俺は周囲に魔物がいない事を確認し、ハンターギルドへ向かった。
今回、戦いの痕跡は殆どない。
あっても樹木が生い茂る場所だ。そう、雑木林。
必要以上に綺麗にしなくても問題はない。
それに魔物の素材や死体は全て持ち帰っているから大丈夫だろう。
ヘラクレスから獲得した外骨格で、所謂インセントと言われる昆虫タイプの魔物の本体を殴ったから、体液みたいなのは飛び散っているがそのうち地面が全て吸収してくれるだろう。
・・・・
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俺は自分が汚れている認識が無かったので、ついそのまま建物の中へ入ってしまった。
何せヘラクレスの中身を殴ったからな。体液とか飛び散っていたのが俺にも飛散しているはず。
「うわ、浄化カードを使って!」
ギルド職員に止められた。
「すまん、魔力が枯渇している。回復するまで待ってくれ。」
いや、ヘラクレスの外骨格を売っちまえばそれぐらい・・・・
「待った。回復薬をくれ。」
俺は自分のカードを差し出し、引き落としをしてもらう。
カードで買い物ができる。素晴らしいと共に金銭感覚が狂う。
俺は魔力の回復薬を受け取り早速服用。
その後浄化カードを手にし綺麗にした。
一寸もったいないがどうせ大金が手に入るんだ。
「それと浄化カードが欲しい。」
「はいよ。こっちも引き落としておくよ。それより何と戦ったんだい?」
受付の女性は既婚で子供もいるらしい。
尤もハンターギルドの受付は、男性も女性も既に第一線から退いている元ハンターだ。
男性は40歳、女性は30歳以降だな。
「インセントを少々。」
「雑木林にでも行ったのかい?」
「まあそんな所。」
「で、逃げ帰ったと。賢明な判断だね。単独じゃあ勝てっこないからねえ。」
ハンター達の常識。
インセントと言われる、まあ昆虫だな、特にカブトムシとクワガタは駄目だ。
あれは凶悪。ソロで仕留めるのは無理とされている。
「それがさあ、一寸スキルで色々持ち帰っているんだよ。」
「うん?何のスキルを使ったんだい?」
「・・・・言わないといけないか?」
「個室に行くかい?」
俺は個室を数える程しか使った事が無い。
そうそう使う事態にならないからだ。
「そうしよう。」
・・・・
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言っておくが受け付けは確かに女性だが、そう言った事にはならない。
「かーちゃん遊んで!」
子供が近くにいる。
保育施設に預けていないのか?そして断じて俺の子ではない!
「今からあっちに行くから一緒においで。いいよね?」
「ああいいさ。」
個室には職員2人で対応する。大抵おっさんの職員も一緒だ。
「これを買い取ってほしい。」
防具として使う事も考えたが、今後スキルを考察する上でまたヘラクレスを仕留める事が出来るだろう。角は武器になるが俺の得物もそれなりの品だ。
今はいらない。
なので此処は金だ。
俺はヘラクレスの外骨格と、クワガタも外骨格を出した。
「おいおい岩ケ谷君よう、なんつうもんを持ち込んでいるんだ!」
おっさんは俺より年上だからな。呼び捨ても仕方がない。
「まあ色々あって運良く仕留められましたよ。」
「ちょっと見せてくれ・・・・どうやったんだ?まるで傷が無いじゃないか!こんな状態のいい外骨格なんか見た事ねえぞ?」
うわ!小さい子供がヘラクレスの角を振り回している!危ない!
ヘラクレスの角は硬い上に軽い。未就学児の力でも軽々振り回せたりする。
そんな軽い角だが、樹木を貫通する威力がある。
「クワガタもあるのね。こちらもきれいね。あら?【魔石】はどうしたの?【清掃人】と【運搬人】を依頼していないわよね?当然ながら【解体人】は現場に向かっていないはずだし。」
「まあここまで来たら察してほしいが、一寸今までと違うアプローチで・・・・まだ分かっていないから言えないが、上手くいったんだ。それとこの前スキル学校騒ぎで色々カードを融通してくれたおかげもあって、収納カードを手に入れたからこうして素材と死体を運んでこれたんだ。そうそう、解体ってお願いできないか?俺にはできないんだ。」
「何だ岩ケ谷、【解体】カードでやればいじゃないか?」
「あれ、スキルでやるとはいえ道具もないし駄目なんだよ。それにいくらカードで出来るったって、手順を知らなければ駄目だろう?」
本音はこれ以上汚れたくないからなんだが、内緒だ。
この後死体も取り出し、魔石を取り出してもらった。
インセント関連は基本素材は外骨格だからな。それ以外で得られるのは魔石ぐらいなもんだ。
だが実際、昆虫の本体はたんぱく質の塊だからと、食べる事もあるらしい。
あれを食べるってどうなんだ?
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