カードdeバトル?

よっしぃ

ハンター

第1話  カードdeバトル?

 俺は今、数人のハンターと共に大型生命体と戦っている。


 かつてプードルと言う名で大いに愛されていたとされる、所謂犬だ。


 今も原産国ではその愛くるしい姿に癒されている人は多いはず。

 だがここは日本だ。

 大型生命体が日本に出現してからもう50年以上経つと聞く。

 昔は魔力なんぞ無かったらしいが、眉唾物だな。

 まあ大型生命体は外来種が魔力にあてられて狂暴化、そして大型化したと言われているし、どうなんだろうな。


 外来種は例外なく大型化し、凶暴化する。放っておけば間違いなく人を襲い殺す。

 なのでこうして我々ハンターは外来種が出現した場合駆逐をせねばならないのだ。


 因みに大きさはおおよそ5メートル。


 姿はプードルそのままのせいか、女性ハンターの反応は悪い。

「だ、駄目。あのつぶらな瞳を攻撃するとか、ごめん。」


 小さければぬいぐるみみたいだからな。それが巨大化したんだ。

 遠くから見たら愛くるしい姿そのまんま。だが目が時折怪しい光を放っている事から間違いなく強暴化している。


「仕方がない!君はフォローに回って!我々が仕留める!」

 別にパーティーを組んでいるわけではないが、ハンターギルドから依頼があって駆け付けた、居合わせたメンバーは初対面でも連携してやらねばならない。


「【投擲】カードを使う!皆射線上から避けてくれ!」

 俺の得物は薙刀みたいな、しかも先端が尖っていて中央にも持ち手があり、槍のように投擲できるのだ。

 しかも【付与】が成功し投擲しても勝手に戻ってくる【返却】スキルの効果があるから使い勝手がいい。


 これら大型生命体は何らかのスキルが無いと仕留める事が出来ない。

 かつて世界を席巻した銃器では駄目なのだ。

 火薬を使い鉄の弾を高速で放つ銃。

 人に当たれば貫通するほどの威力だが、大型生命体には大したダメージを与えられない。

 包丁などで切りつけても無駄だ。

 そして我々ハンターはスキルを直接扱えない。それが出来るのはスキルホルダーだけだ。

 だが彼等は貴重過ぎて戦闘には参加できない。

 そこで用いるのがカードだ。

 カードへスキルを封入若しくは注入とも言うが、それを我々ハンターが用いる事で一時的にカードのスキルを扱える。


 俺は既に【身体強化】カードを使用していて力を高めているので、当たれば一撃必殺。

 まあ外れても戻ってくるから当たるまで投擲すればいいんだけどな。


 他のハンターが俺と大型生命体の間から離れてくれた。

「行くぜ!」


 俺は武器を投げた。

 それは凄まじい速度で大型生命体へ向かい、そのまま胴体に突き刺さった。


「グウウウウウウウ!」

 よくわからん唸り声をあげて暴れ出す。

「よくやった!よし、あいつに続け!」


 他のハンターが一斉に仕掛ける。

 俺も近づき戻った武器で切りつける。

 身体強化の効果があるうちはジャンプ力も凄いので、一度跳躍をすれば3メートルぐらいの高さを飛び越える事も簡単だ。

 そのまま頭の後ろへ向かい、武器を首に突き刺す。


 大型生命体は大量の血をまき散らし、やがて倒れた。

 暫くハンター達の攻撃が続き、そのうち動かなくなった。


 ふう、終わった・・・・しかし今日も血まみれか。

【浄化】で綺麗にしないと駄目だな。


 この後【清掃人】と【解体人】と言われる人々がやってきて周囲を綺麗に、そして魔物を処理してくれる。最後には【運搬人】が全てを運んでくれる。


 最終的に素材は居合わせたハンター達で山分けだ。

 まあ換金して現金にして分けるのが一般的で、ごくまれに素材が欲しいと言う奴がいるから、そいつには素材を渡し、もしはみ出す様であれば差し引いた分を皆に払う、という形だ。


「おお、今日もお疲れさんだったな。」

「あ、お疲れさんです。」


 ハンター達は己の活動拠点からそれほど離れて仕事をしないので、大体顔見知りになる事が多い。

 何せ毎日のように大型生命体が出現するからな。

 他の都市へ出向いて戦う余裕はない。

 この後、早くハンターギルドへ向かい報告を済ませ家に戻って休まねば。


 人によっては酒を飲んで1日を終える奴もいると聞くが、きっと酒でも飲んでないとやっていられないのだろう。


 カードの補充もせねばならないし、先を急ごう。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 この後ハンターギルドで討伐の報告を全員で行い、後日金を受け取る事になった。

 それよりカードだ。

「今回使ったカードだ。あれば買いたい。金は報酬から引いてくれ。」

「はいご苦労さんだねえ。【身体強化】【投擲】【浄化】だね。」

 カードが無いと仕事にならんからな。


 大型生命体は魔力のせいで狂暴化したという事で、魔物と呼ばれる事もある。

 外来種が大型化した存在なのだが、時折生理的に受け付けない奴等もいるから厄介なんだよな。


 俺は数人のハンターと共に食事をし、そのまま解散した。

 また明日には魔物と戦わねばならない。

 俺の名は 岩ヶ谷いわがや 俊也としなり

 28歳独身彼女無し。


 ハンターやって10年になる。

 俺の日常は大体こんな感じだ。


 死にさえしなければ大抵の怪我は【治療】カードで治る。四肢を欠損したり失明すると【修復】を併用しないといけないらしいから中々厄介だが。


 俺は家に戻り、その日の記録を書き留め、寝た。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 まだ暗いのに、電話が鳴る。

 俺は魔道具で明かりをともし、電話に出る。

 ハンターが住む場所には電話の設置が義務付けられる。

 魔物が出現すれば、戦わねばならないし、出現場所や時刻によってはこうして夜中でも向かわねばならない。

 尤も夜中専門の連中がいるはずなんだが、仕留められなかったのか?


「ああよかった岩ケ谷さん!緊急出動です!今すぐハンターギルドへ来て下さい!」

「はあ?今何時だと思っていやがるんだ!」

 一応言っておかないとな。

「そ、その・・・・2時過ぎです。」

「昨日の疲れと魔力が回復していない。無理だ。」

「そ、そこを何とか!今回は国立スキル学校へ魔物が向かっているので、緊急度は最高クラスで、向かわないと色々と・・・・」

「うわ!マジでか?何でスキル学校なんだよ!仕方がないな。今すぐ向かうからカードをできるだけ用意してくれ!あと【韋駄天】カードを使った方がいいか?」

「は、はい!こちらで【韋駄天】カードは用意しますから使って来て下さい!」


 俺はこの時まだ頭が起ききっていなかったので、どんな魔物が出現しているのか聞くのを忘れていた。


 知っていれば装備をもっと念入りにしていただろう。だがあの様子ではそんな時間もない。

 くそ!国はハンターを何だと思ってやがるんだ!

 ハンターギルドもハンターギルドだ!

 俺は定年の40歳まで生き延びる事が出来るのだろうか。


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