第3話 菊次郎の暴走ととばっちり
俺の名は
28歳独身彼女無し。
そんな俺が何をしているのかと言えば、蛇と対峙しているのだ。
で、俺は今回蛇討伐隊に任命されたリーダー、つまり菊次郎に意見している所だ。
つうかさっきの話を聞いていなかったのか?首と言ったのに頭に斧を投げやがった!
あ、やべえ。頭は駄目って言ったのに当てやがったぞ!何でこういう時に一発で当てられるんだ?
「うぎゃああ!!!」
見事に菊次郎は蛇が撒き散らかした毒を受けた。そりゃあそうだろう。
あれの毒は水道水みたいに真っ直ぐ飛ぶんだ。どういう仕掛けだ?
まあ毒を受けて当然だ。あの蛇には毒があり、頭に衝撃を受けると身の危険を感じ、毒をまき散らすんだ。ハンターなら知っていて当然なんだが本当に知らなかったのだろうか?先程も俺に確認していたぐらいだからな。マジかよ!
しかもハンターギルドは防毒関連のカードを用意してくれていない。これでどう戦えって言うんだ?用意してくれたカードは【解毒】だ。それは毒の攻撃を受けた前提のスキルだ。
それに急な出撃だったから、防毒マスクなんか誰も持って来ていない。せめて装備を整える時間ぐらいくれと言いたい。貸出しは既に先発隊が持っていってしまっており在庫もないとか。ハンターギルド仕事しろよ!
「だから言った・・・・うぐ。」
俺は咄嗟に武器を投擲した。毒が全身に回れば何もできなくなるからと、せめて一矢を報いたかったからだ。【解毒】カードを取り出す余裕はない。
上手く口の中に突き刺さったが戻ってこない。どうやら引っかかったようだ。
俺はそこまで見定めたが、意識が遠のいていくのを感じた。
どうやら俺にも毒が回ってきたようだ。あいにく回復手段は持ち合わせていない。
総勢20名からなる討伐隊による攻撃は失敗に終わった。
その後さらに20名が駆け付けてくると言う事だが、出発前に名簿を見ると俺の数少ない教え子の名があった。
相手は気付いたかどうか。
隣の市から駆け付けるようだから、少し時間がかかるはず。
何故か集団戦を好まず、ずっと1人で戦っているらしい。
纏う雰囲気も普通じゃないし、変わった奴だ。
そして最後に覚えているのは誰かが近くに来たのが見えたところだ。
・・・・
・・・
・・
・
俺達は
つまり前日に蛇と戦って戻ってこなかった10名と、俺達の前に向かった夜専門10名、今日先行していた俺達20名と、後から駆け付けた20名を投入した訳なんだが、事前に蛇が出て10名もの犠牲者・・・・運良く生きていたそうだが・・・・ハンターは何故カードを用意してくれなかったんだ?俺達は何の備えもしていなかったから殆ど何もできなかった。
緊急でなければ我々は個人の責任でカードを用意する。
だが今回は強制出動命令なうえに準備時間もなかった。
何せ昨日蛇が出ていたという時、俺は隣の市へ大型生命体、つまり俺達が戦う相手なのだが、それを相手にしていた。
所謂外来種という生き物が大型化、そして狂暴化したのが大型生命体なんだが。
例えばカブトムシがいる。
手のひらサイズの大きさで特に子供に人気だが、これが海外へ渡ってしまうと話は違ってくる。
身の丈が10倍になり・・・・8センチのカブトムシであれば80センチにもなり、質量は10倍ではなく100倍なんだっけか?
とにかくでかくなって、しかも狂暴化し人を襲う。
だからハンターは外来種、つまり大型生命体が現れるとハンターギルドから連絡が入り仕留めに向かわねばならない。
ついでに言えば一般人では仕留める事が出来ない。
兵隊では無理なんだ。
銃器が存在し、火薬で鉄の玉、つまり弾薬だな。
これをすさまじい勢いで吐き出す武器がある。
至近距離で人が浴びれば貫通するほどの威力なのだが、大型生命体・・・・今は魔物と呼んでいるようだ・・・・何せ魔力という概念がすっかり定着しているからな、そしてその魔力にあてられてデカくなってという説があるぐらいだ。だから魔物というらしい。
魔物には従来の武器が通用しない事が分かり、効果があるのはスキルを用いた攻撃のみ。
ところがこのスキルが曲者で。
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