童話に出てくる魔法についての考察『美女と野獣』

アルターステラ

第1話 魔女とその魔法

何番煎じかはわかりませんが

自分なりの想いを書こうと思います



美女と野獣🥀のお話を知らない人がいるかもしれませんが

ストーリーのネタバレになるので

お話を知ってから読んでくださると嬉しいです


もしネタバレを気にしない方や既にお話を知っている方は読み進めてくださると幸いです



魔法が登場するのは

美女と野獣の冒頭です


冒頭をお話します


あるところのお城に容姿の整った王子がいました

王子は両親が他界したにも関わらず

王位を世襲して間もなく

連日のように華やかなパーティや舞踏会を催していました


その王子はその整った容姿や身分によって

とても甘やかされて育ったために

わがままで傲慢になり

優しさを持ち合わせずに

そのまま大人になりました


ある日

1人の醜い老女が城の門を叩き

王子に美しい薔薇を差し出すかわりに

一晩だけ泊めて欲しいと請います


しかし、

老女のその容姿を嫌悪した王子は

老女を城に招き入れることを拒みました


老女は王子に

「人を見た目で判断すると本当の心に気づくことができなくなってしまう」と忠告しますが

王子は構わずに老女を追い返そうとします


すると

醜い老女は一変し

若く美しい魔女へと姿を変えました


王子は魔女へ許しを請いましたが

魔女は傲慢で優しさのない王子と

その王子を傍若無人に育ててしまった召使い達

それから城全体にも魔法をかけました


魔法は

王子を醜い野獣の姿に変え

召使い達は城のあらゆる道具の姿へと変え

お城のことを人々から忘れさせました


魔女は王子に

全てのものの今を映し出せる魔法の鏡と

初めに差し出した1輪のバラの花を与え

バラの花びらが枯れ落ちるまでに

王子が真実の愛を見つけることができなければ

お城にかけた魔法を解くことは出来なくなると言い残して

立ち去ってしまいます



ここまでが冒頭のあらすじですが

・魔女は姿を変える魔法

・姿見の魔法

・忘却の魔法

この3つの魔法をかけていきました


そして姿を変える魔法は

人を見た目で判断してしまうタチの王子にとってこの上ない痛手になります


では、

どうして魔女はそんな酷いことを

一晩だけ泊めてくれるのを拒まれただけで

していったのでしょうか?


そして、その1輪のバラ🌹には

一体どのような意味があるのでしょうか?



魔女はバラについて

王子にこう言っていました

『バラの花びらが枯れ落ちるまでに

王子が真実の愛を見つけることができなければ

お城にかけた魔法を解くことは出来なくなる』

この言葉を受けて、王子はバラの花を大切にガラスの瓶フタをかぶせて保管します

誰にも見つからないように誰にも触れさせないように

西の外れの自室で常に見張っていました

お城は忘れ去られ

長い時が経ち

いつしかお城の周りには鬱蒼と生い茂る森が広がり

誰も訪れる者がいなくなりました


王子の唯一の救いは

姿見の魔法がかけられた鏡で外の世界を覗き見ることができたことでした



もしも魔女が

単に王子に仕返しをしたかったのであれば

王子を醜い野獣の姿に変えるだけで十分だったでしょう

しかし、魔女は同時に忘却と姿見の魔法もかけていきました

これにはどのような意図があったのでしょうか?

物事を表面的に薄く見ているだけでは

その姿見と忘却の2つの魔法の意味には

気づくことができないようになっています

魔女は王子にだけでなく

その物語を見た人にも王子と同じように

見た目だけで判断をしないようにと

暗に示しているのです


どういうことかというと

本来鏡は自分の姿を映すものです

なので、魔女が単なる鏡を王子に渡していれば

王子はそこに醜くなった自分の姿だけが映ったでしょう

でも、魔女はそうしなかった

魔女は王子にあらゆる場所の現在の姿を映せる魔法の鏡を与えました

王子にもっと世界を知って欲しいからです

籠の中の鳥として甘やかされた王子に

今一度、魔法の鏡を通して世界の現状を知ることができるように仕向けたのです


そして、そのことと忘却の魔法は繋がっています

魔女が来る前のお城では

連日のように豪勢なパーティが開かれ

王子達はさぞ楽しく過ごしていたでしょう

しかし、王子達がそのような遊びに興じることができるのは

領民たちの血と汗と涙があっての事です

お祭り騒ぎを続けるお城に対して

領民たちはどのような感情を抱くでしょうか?

きっと良くない感情であったはずです

しかし、王子はごく一部の周りの人間達に甘やかされて育ち

気質としても勉学に励み民を慮るタイプではありませんでしたから

領民たちのその苦い感情や怒りなどの気持ちを汲み取ることは難しいでしょう

これは王子だけの失態ではなく

その王子を導く立場にあった親族や召使いたちにも責任のある事です

王子が美しく整った容姿であることから

教育や躾をゆるめてしまい

結果として姿は美しくも性格はとても醜い王子を育ててしまったのです

これは周りの人々が見た目に惑わされて本当の姿やあるべき姿を見ていなかったことが原因です

その矛先を王子だけに向けさせてしまっている現状を

魔女は憂いたのかもしれません

かくして魔女は、忘却の魔法により

お城の存在自体を一旦人々から忘れさせ

王子や召使いに再起のチャンスを与えました


このように考察すると

姿見と忘却の魔法は魔女からの優しさなのかもしれません


では、残る姿を変える魔法については

次話で私の考察を述べさせてください


姿を変える魔法は

物語の主軸テーマと大きな関わりがあるので

少し長めになります

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