Ꮚ・ω・Ꮚメー(8:バザールに出品しよう)
メーッ! (いただこう!)
メエェッ!(いざ!)
メメェッ!(ブラボー!)
理性が限界に近かったようです。
バロメッツたちははじかれたようにパンに飛びつきました。
バリバリメー!
パリパリメー!
モチモチメー!
なにか言っているのかわからない声をあげた三匹は、あっと言う間に神餐のプチフランスを平らげてしまいました。
食事効果が出ているのか金色のオーラを出したり、綿毛の体を膨らませたりパチパチと放電したりしています。
メー (ご馳走様でした)
メエェ(至高にして至福のひとときだった)
メメェ(代金を支払わなければ)
開いたままだったステータス画面に『五十万PPが振り込まれました』と表示されました。
「……もらいすぎでは?」
食べかけの状態ですし、チュートリアル中の人間が受け取るPPではない気がします。
メェ (意見は理解するが、正当な評価額だ)
メエェ(君が対価を下げれば、それが先例となる)
メメェ(血が滲む努力をして君と同等の境地に至った他の誰かの仕事を貶めることにつながる)
メチャリ (そもそも)
メチャー (対価を決める前に食べてしまったからな)
メメチャア(対価をいくら積もうが我々の自由なのだよ)
メーメッメッメッ。
三匹は妙に悪者めいた声をあげました。
「そんなにPPを使ってしまって大丈夫なんですか?」
メー (我々は迷宮王アデスの端末のひとつでもある)
メエェ(我々が味わった感動や衝撃は迷宮王の元に送られて共有される)
メメェ(迷宮王からの報酬と考えてもらっていい)
「私の個人情報も迷宮王に送られるということでしょうか」
メー (冒険者登録の時点で送られている)
メエェ(君はこの世界における最初のレジェンダリークラス保有者だ)
メメェ(既に最重要冒険者としてマークされている)
大変なことになっているようです。
メー (それはさておき、君の持病は完治した)
メエェ(冒険者を志した動機が失われたわけだが)
メメェ(チュートリアルを続けるかね?)
「はい」
アンデッド因子感染症が治ったと言っても奨学兵団を除籍された身の上ですので、なんらかの仕事はしなければいけません。
メェ (では、次はバザールに出品をしてみよう)
メエェ(秀逸なプチフランスを通常アイテムボックスに収容してくれたまえ)
メメェ(収容したらアイテムボックスの管理ウィンドウを開く)
指示に従い、残っていた二つの秀逸なプチフランスを通常アイテムボックスに収容します。
手を触れなくても念じるだけで出し入れできるので便利です。
続いてアイテムボックスの管理ウィンドウを開くと、
秀逸なプチフランス:2
と表示されていました。
メー (秀逸なプチフランスを長押し、メニューから『バザールに出品』を選択)
秀逸なプチフランスの文字列を長押しすると、『取り出し』『バザールに出品』『譲渡』『廃棄』といった選択肢が表示されました。
『バザールに出品』を選択すると、『1個ずつ売る』『セットで売る』という選択肢が表示されます。
メー(好きな方を選んでくれ)
今回は『1個ずつ売る』を選択します。
次は販売価格の設定です。
最低取り引き価格五千PP、最高取り引き価格は八千PPと表示されていて、この範囲外の額にはできないようです。
「やっぱりパンの値段じゃないと思います」
メェ (取り引き価格帯は効果ベースで設定される)
メエェ(もうそういうものだと思って割り切って欲しい)
メメェ(とりあえず推奨出品価格にあわせておけば困ることはないはずだ)
推奨出品価格は六千PPということなので、そのまま六千PPと指定します。
秀逸なプチフランスは二つありますが、まずは一つだけ出品することにします。
秀逸なプチフランス
出品価格6,000PP
点数1
以上のアイテムを出品しますか?
(はい/いいえ)
という表示に『はい』を選択します。
アイテムボックス内の秀逸なプチフランスに『バザール出品中』という表示がつきました。
数秒も経たないうちに『秀逸なプチフランスが落札されました』というメッセージが表示されました。
『秀逸なプチフランス』の数がひとつ減り、所持PPがまた増えました。
メェ (随分早く売れたな)
メエェ(普通はここまで速くは売れないんだが)
メメェ(ともかくこういう流れでPPを稼いでいくことになる)
メェ (バザールやダンジョンで素材を手に入れて生産を行い、バザールで売るの繰り返しだ)
メエェ(PPが貯まったら道具や設備を増やしたり、スキルを上げたりしていく)
メメェ(生産クラスのチュートリアルはここまでだが、なにか質問は?)
「もう少し安く売る方法はないんでしょうか?」
メェ (バザールを通さず直販する分には価格設定は自由だ)
メエェ(ただし、競合アイテムを扱う冒険者に敵視される可能性がある)
メメェ(東京大迷宮としても推奨はしていない)
メェ (抜け道があるとすると、食事効果を落とすという方法になる)
メエェ(今のところレジェンダリーのパワーに振り回されているが、慣れれば普通に美味しいだけのパンを焼けるようになるだろう)
メメェ(そういうものならもっと手の届きやすい価格で提供できる)
「普通の値段で売るためには訓練不足ということでしょうか?」
メェ (そういうことになる)
メエェ(話が逆ではあるがね)
メメェ(こんなアドバイスが必要になった人間は君が初めてだ)
バロメッツたちは苦笑いするように言いました。
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