朱神コウはモブでありたい
ポメラニアンドロイド初号機くん
第1話 クラスのアイドルに告白されました。罰ゲームですか?
僕の信条は「目立たない事、波風を立てずに生活する事」だ。
名乗り遅れたけど僕は
はっきり言って、僕は主人公になんてなりたくない。そんなに自信もないし自分に期待もしてないから主人公なんて無理無理。僕には荷が重いよ。
それくらいなら最初からモブでありたい。RPGとかでいう村人Aみたいなとるに足らないちっぽけな存在でいたい。そう思ってなるべく目立たないように生活するはずだったのに、その目標は入学初日で打ち砕かれた。何故にこうなった……
静岡県H市、
その登校初日、僕が教室に入った時にそれは起こる。
教室で僕が最初に目にしたのはある一つの席の周りにクラスメイトが集まっている様子だった。クラスメイトの中心にいたのは入学式で新入生代表を務めた村雨葵さん。ロシア系のクォーターで、長い銀髪を背中辺りで束ねて前髪に青いヘアピンをした小柄で華奢な可愛らしい女子。なんでも入学試験成績トップとの噂だ。
村雨さんについてその時は「かわいい子だな~」と、普通の印象しかなかった。まあ今後、僕とはこれといって接点もないのだろうが。
当然だ。僕のようなモブごときがクラスのアイドル的な女子と親しくなる事などありえないのだから。そんな事があった日にはクラスの体育会系男子連中に締め上げられる。考えただけで恐ろしい……
しかし村雨さんは突然、僕にとってとんでもない発言をした。
「このクラスに朱神コウ君っていますよね?彼に話があるのですが呼んできてくれませんか?」
クラスメイトの視線が一斉に僕の方を向く。
僕が最も恐れていた、クラスメイトの注目と好奇の視線。心臓が暴れるかのように激しく脈打つ、まるで死に急ぐように。可愛い女子に呼び出されて心臓バクバク。言葉にすればよくある事のようだが、僕にとっては全く逆、つまり悪い意味でだ。
「おい朱神、呼ばれてるぜ」
一人の男子が僕を呼ぶ。逃げ場はどこにもなかった。
いったい僕が何をしたのかわからないが、とりあえず全力で謝ろう。そう覚悟した時の事だった。
「大好きです。私と付き合ってください」
何故か村雨さんは僕に告白をした。色めき立つ女子と驚愕する男子。村雨さんの表情には期待と不安が見え隠れしていて、それが僕に向けられていた。
何 故 に 僕???
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