第720話 かりんちゃんは今日も部屋の中 その4

【登場人物】

種子島かりん DStars4期生 FPSつよつよ陰キャV

川崎ばにら  DStars3期生 ゲーム配信が得意


【シチュエーション】

かりんちゃん、罠と知りつつもばにらのマイクラコラボを受ける。

しかしその罠は知っていても回避できない強烈な罠だった……!


◇ ◇ ◇ ◇



かりん「それじゃあ、デビュー後の最初のコラボは」


   「マイクラということで」


ばにら「分かったバニ!」


   「かりんちゃんをおもてなしする、準備をしておくバニよ」


かりん(ぜったいなにか仕込んでますやん、こんなん……!)


ばにら「ていうか、デビューまであと何日くらいバニ?」


かりん「え? そのスケジュール、Bちゃんから聞いてないの?」


   「教育係なんだよね? そういうのも含めて教えてもらってるんじゃ?」


ばにら「いやあ、ばに~ら配信に忙しくってですね」


   「自分のスケジュールを把握するのもいっぱいいっぱいで」


   「よく、Bちゃんやマネージャーから怒られるバニよ」


かりん「ダメダメじゃん! 社会人としても先輩としても!」


ばにら「それでもやってけるから、VTuberやっとるんや!」


   「むしろばに~らからVTuberとったら!」


   「なにも残らへんのや! 仕方ないやろ!」


かりん「そんなことでキレてどうするの⁉」


   「少しも誇らしくないし、擁護もできないんだけれど⁉」


ばにら「とにかくほら! はよスケジュール教えてバニ!」


かりん「…………えっと」


   「今日の夜に公式にお披露目発表があって」


   「運営チャンネルでメンバーのプロフィール紹介と」


   「初配信の日程が発表されます」


ばにら「あ、一斉にデビューとかではないバニなのね?」


かりん「みたいだね。誕生日配信がリレーできるように」


   「一日一人ずつデビューさせるんだって」



   「かりんは二人目。ごりらの次」


   「だから三日後だね……」



ばにら「え、トップバッターがごりらちゃんなの⁉」


   「それちょっと大事故になったりしないバニか⁉」


かりん「今してるのかりんのお話しじゃん!」


   「ごりらのことはいいでしょ!!!!」



   「というか、どこで出てきても大事故だよ!!!!」



ばにら「それもそうバニね」


   「だったら『初手ごりら』で攻めるべきバニね」


   「みんなメンバー紹介で『ごりらってなんだ?』ってなってるバニだし」


かりん「絶対なるよね」


   「なんでそんなネタネームをつけられたんだろう」


   「普通にいい娘なのに……」



―――――――

補足 東山ごりらの名前の由来

―――――――


握力!


ごりらが自分の握力をゴリラ並と評したところ「じゃあ、芸名もごりらにしましょうか?」と、スタッフが悪ノリした。ごりらも「いいですね! しましょう!」と、それに迎合してしまった。かくして誰しもが「こんなん、VTuberとしてどう考えてもあかんやろ」みたいな空気の中で、ごりら系VTuberが誕生した。


みんなも軽率にこの手の話しに頷いてしまうと後悔するぞ! たった一度の人生なのだから、悔いのない選択をしような! ラノベ作家としてデビューしたのに、また一般人に戻ってしまった、躓きっぱなしのkattern先生との約束だ!(吐血)


―――――――



かりん「ちなみに、そのあとの順番は」


   「かりん、ラム、レーヌ、らむね」


   「ってことになってるよ」



ばにら「大トリにMAKIさんを持ってくるとは」


   「運営も分かっているバニね」



かりん「…………MAKI? 誰?」


ばにら「うそバニでしょ⁉」


   「人気女性配信者のMAKIさんバニよ⁉」


   「もしかしてかりんちゃん、知らないバニか⁉」


かりん「…………ごめん、分かんないや」


   「ゲーム実況とかしてる人???」


ばにら(これは本気で知らない人の反応!!!!)


   (同期が人気配信者だって知らないってマジバニか!!!!)


かりん「あ、出た出た!」


   「うわっ! すごっ! 登録者数えっぐ!」


   「VTuberとかわらないですやん!」



   「あ、龍が○くとかの実況配信してるんだ」


   「かりんとはジャンルが違うから、分からなかったんだなぁ」



   「で、この人がどうかしたのばにらちゃん?」



ばにら「…………とりあえず、直近の配信を聞いてみるバニよ」


かりん「直近の配信?」


   「この『ご報告』って奴でいいの?」


   「なになに、もしかして引退とかしちゃうの?」


   「これだけリスナーいるのに引退とか、もったいないですやん……」



らむね「みなさ~~~~ん!」


   「おはよ~~~~ごじゃいマ~~~~ス!」



かりん「!!!!????」


ばにら「気づいたバニか?」


かりん「ちょっとどういうこと、ばにらちゃん⁉」


   「この人の声! めっちゃらむち(らむねの愛称)と同じなんだけど?」


ばにら「気づいてないバニね……」



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



後輩のスケジュールを把握していないダメ先輩のばにらさん。

そして同期の素性を知らない、脳天気なかりんちゃん。

やっぱりお互いお似合いなのでは???


陰キャって、なんかそういうところあるよね。(他人に無関心)


なんにしてもマイクラ配信を約束してしまったかりんちゃん。おまけに同期の素性まで暴露されてしまって、はたして彼女は正気を保てるのか。自分も結構すごい配信者なのに、小物ムーブが止まらないのはやっぱりどこかの先輩とよく似ている。そんなかりんちゃんがどうなるか気になる方は――ぜひぜひ評価・応援・コメントよろしくお願いいたします。m(__)m

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