第713話 (ひさしぶりに)会社いく 2
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
渋谷いく DStars2期生 陰キャオタ女系VTuber
Bちゃん DStars裏方兼事務職員 広報配信を担当
社長 DStarsの社長 ときどき無茶ぶりするが敏腕
【シチュエーション】
いくちゃんが会社に出社するとそこは地獄だった。
オカマエルフに「お前もメイドさんにならないか?」と誘われるいくちゃん。
断固としてそこは拒否するのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
い く「えぇっ⁉ 引越した先で、変な男に襲われかけた⁉」
「だだだ、大丈夫だったのばにらちゃん⁉」
「怖かったよね! 大変だったよね! 生きててよかった~!」
ばにら「まとも!!!!」
「今までの誰よりもまともな反応!!!!」
「心の底から善意で心配してくれてるのが伝わってくるバニ!!!!」
「やっぱいく先輩、アンタいい人バニな!」
い く「むしろこれ以外のどんな反応をしろというの?」
「え、ちょっと? なんで顔を逸らすの、いま先輩にBちゃん?」
い ま「……いや、きっとばにらちゃんのこれまでの素行とか、ネ?」
Bちゃ「そ、そうそう! ばにらさんは普段みんなに迷惑かけてるから!」
「ちょっときつめに言っておいてあげるのが、彼女のためというか!」
い く「…………」
「ほんとうに、大変だったんだね、ばにらちゃん(察し)」
ばにら「それはそうと、いく先輩も聞いてくださいよ」
「ばに~ら四期生の娘の教育係をやらされてて」
い く「うわぁ、陰キャにはきつい話だね」
「一期生&二期生の時はなかったけれど」
「今はそういうこともやってるんだ」
「時代の流れって奴だねぇ……」
ばにら「そうなんバニですよ」
「さらにまたその娘がやんちゃで」
「KMTってアカウントで活躍している」
「プロゲーマーなんバニですけど」
い く「…………(スン)」
「ばにらちゃん、ちょっとその話、詳しく」
ばにら(あれ、空気がちょっと変わったバニ?)
い く「APEXのトップランカーのKMTちゃんだよね?」
「私もプレイングはよく参考にしてるけれど」
「その娘が、今度の四期生に入ることになるの?」
ばにら「あ、はい」
「その認識で合っていると思うバニですけど……」
「どうなんバニですかね、Bちゃん?」
Bちゃ「ばにらさんの認識で間違いありません」
「今度、うちに入ってきたのは」
「APEXとっぷランカーのKMTさんです」
「これからどんどん熱くなっていく競技ゲーム分野について」
「彼女に牽引していってもらおうと、今回採用しました」
い く「…………」
「あのさBちゃん? APEXは私も、含めて」
「けっこうなメンバーがやってるよね?」
「それじゃ力不足ってことがいいたいわけ?」
ばにら(うわっ! めずらしくいく先輩がマジになってるバニ!)
(けど、そうだよな。いく先輩はガチガチのゲーマーVTuber!)
(それを差し置いて、かりんちゃんが採用されたとなると……)
Bちゃ「えぇ、正直に言って、力不足だと思っています」
い く「!!!!」
ばにら「えぇ⁉ ちょっと、Bちゃん⁉」
い ま「Bちゃん! 言葉は選びなよ!」
Bちゃ「そうですね。訂正します」
「総合的なゲームのスキルについては」
「いくさん、ばにらさん、ずんださんのような」
「自社のVTuberの方が優れています」
「それは胸を張って私は言えます」
い ま「けど、それじゃいけない理由があるから」
「わざわざKMTちゃんを雇ったってわけだよね?」
Bちゃ「はい」
「強いて言うならそうですね……」
「特待生のぽめらさんと同じ理由です」
ばにら「ぽめら先輩と⁉」
Bちゃ「ぽめら先輩は、特待生メンバーの中でも」
「ゲームセンスはよわよわな方です」
「配信内容もまったりしたゲームが多いですし」
「リスナーも雑談や歌枠なんかを彼女には期待しています」
「けど、スプラ○ゥーンの腕前だけは、DStarsの誰にも負けない」
「言っていること、分かっていただけますよね?」
い く「オールラウンダーより、スペシャリスト」
「メジャーゲームに特化した、プロフェッショナルが欲しかった」
「そう言いたいんだね……Bちゃん?」
Bちゃ「そういうことです」
「もちろん、会社としては総合力が求められるのですが」
「それは他の人材でカバーする」
「時にはこういう『これしかできない!』という人材も」
「会社にとっては大事になってくるんですよ」
ばにら(そういうことだったバニか……!)
(けど、そうすると、ますますかりんちゃんを指導しづらい!)
(ばに~ら、APEXは苦手バニですよ!)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ここ最近はVALORANTなんかに押され出してきていますが、相変わらずオンラインFPSゲーでは強い人気を誇るAPEX。
人の多いところに釣り針を垂らすのがエンタメの基本。そんな場所で、華のあるプレイができるかりんちゃんは、会社としては喉から手が出るほど欲しい人材だった。
そう、今も一生懸命戦っている、自社のVTuberを差し置いても。
珍しく対抗意識バリバリのいくたん。まさかとは思うが、会う前からかりんちゃんとバチギスってしまうのか。割と一緒に組んだら、いいシナジーがありそうな気がするんだけれど、どうなのだろうか。そんな三人(わざとです)の関係性が気になる方は、ぜひぜひ評価・応援・コメントよろしくお願いいたします。m(__)m
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