Exラウンドは衝撃的
「いきなりごめんね、彼女さんが先に帰ったの見てたから声掛けちゃった」
「あぁ、はい...」
「優貴、怒ってる?」
「いや、怒ってないですよ。美優さんは本を借りにきただけですし、今日借りるならどっちにしろ受付にこなきゃいけなかったですし」
「よかった...」
「いえ。俺も迂闊でした。ところでどうしたんですか?」
「うん、何か私のタイミングのせいで空気悪くしちゃったのかなって謝りたかったのと...」
「と?──っ!?」
「えへへ、どうしても優貴とちゅーしたかったの!」
ぐはっ!
やられた。完全にやられた。
なんなんこの天使?女神モードとのギャップがえぐいんだが。
「ね、優貴はこの後予定ある?」
「い、いえ...特には」
「そしたらさ、私の家こない?」
「いきます!」
美優さんの家──
その甘美な響きに惑わされ即答で了承してしまった。
俺は美玖の両親に嫌われてるせいで、彼女持ちでありながら年頃の女の子の部屋なんて入ったことがないのだ。
正直、憧れてましたぁ!!
あれ、でも何か忘れてるような気がするな?
「それじゃ早速行こっか。今の時間は他の生徒もいないから一緒に出よ?」
「はい」
とは言っても、隣り合って手を繋ぐわけにもいかず先導する美優さんの少し後ろを歩いて家に向かった。
◇◇◇
「ここを曲がれば私の家だよ──
っ...。優貴、止まって」
「え?はい」
もう少しで美優さんの家に着くところで、
突然美優さんにストップをかけられた。
って、あの?なして私は抱きしめられているのでしょうか?
「あの...?」
「しーっ...」
混乱して美優さんを見上げようとするが柔らかく豊満なものに阻害され前が見えない。
仕方なく諦めて目を瞑り幸せな感触を堪能していると、曲がろうとしていた先から聞き慣れた声が聞こえてきた。
「もー!大我先輩!!学校では秘密にするって約束じゃないですかぁ!」
「あはは、ごめんよ美玖ちゃん。つい」
「ついじゃないですよ!もう!」
「だって図書委員だって言うから会いに行ったら、知らないイケメンと仲良さそうにしてたから思わず牽制しちゃったんだよ」
「だからって...」
「そんなに怒らないでよ。もしかして美玖ちゃんはあの男を狙ってたりするの?俺と言う男がいながら?」
「だから違いますー!そういうのじゃなくて!どこから漏れるか分からないじゃないですかぁ!そもそも大我先輩だって秘密にしたいんでしょ?」
「まぁそうだけどさ。でも分かんないんだよなぁ。俺が秘密にしてる理由は知っての通りだけどさ──美玖ちゃんって、もしかして彼氏いる?」
「い、いませんよ!親が厳しいからって言ったじゃないですか!もう知りません!」
「そんなに怒んないでよ。ほら、お姫様。我が家に着きましたよ。沢山可愛がるので許してください」
「もう....」
じ、じ、じ、地獄〜〜〜!!!
音声だけで地獄なんだが!?
います!いますよ!ここにいまーす!
おいおい、勘弁してくれよ...
おっぱいなかったら死んでたぞ!?
み、美玖の奴....
さっきまで俺と手繋いでふふ〜ん♪からの
プチ修羅場を乗り越えて大好きだよで締めたくせに舌の根も乾かぬうちから浮気相手の家に上がり込むなんてとんでもねえ女だな!
信じられねえよ!
普通あの状況から浮気相手の家に行くか!?
俺とお前の3年、いや10年以上育んだ愛をそんな風に裏切るのかよ!!!
そこはバレそうだから悔い改めてさぁ!?
いやね、ちょっと期待したよ。
もうまずいから会うのやめようなんて思ってくれてたりしないかなぁとかさ?
いや、まじで信じられない...
あの後に浮気相手の家になんて────
「優貴、色々あるだろうけど、とりあえず私の家に入ってから話そ?」
おっじゃまっしまぁーす!!!
きゃほうっ!女子の家だぁ!!
「なんかごめんなさい」
「?なんで急に謝ってるの?」
「謝らないといけない気がしました」
「へんなの」
◇◇◇
「もう、恥ずかしいからあんまり見ないでよう」
「す、すいません、ついつい...」
人生初の女子の部屋に上がった感想は?
はい、最高でした。
何かいい匂いするしぬいぐるみとかあって可愛らしいしギャップがやばいんだが?
美優さんはどれだけ俺を悶えさせるのかな?
「こほん...。それで、さっきのことだけど...」
「あ〜、はい、恥ずかしながら彼女でしたね...」
「うん...大我がごめんね...」
そう、俺が美玖の浮気現場をまたしても見てしまった原因は、美優さんの家と間男さんの家がご近所さんだったことだ。
そういえば美優が、間男さんと美優さんは幼馴染だって言っていたのを思い出す。
しかし、大我か...。
まぁ幼馴染なら当然っちゃ当然だが、
どんな仲なんだろうか?
ちなみに2人が学校で話しているのを見たことはない。
俺は知らんかったが、学校で仲良く話してたとしたら美優さんは男嫌いの女帝なんて言われていないはずだ。
「あの、美優さん?
間お..あの人とはどんな...?」
「うん...幼馴染で、一応.....私の彼氏」
ほわぁっつ???????
か、か、か、かれし????
間男さんが彼氏??????
HeはYouの彼氏??????
YouはHeの彼女??????
え?ってことはなに????
俺は間男さんにとっての間男さんなのかい?
あいつが俺で俺があいつで?
俺は間男だった?
え?加害者?被害者かつ加害者?
ね、寝取られたと思ったら寝取っていたぜ...
って....コト!?
うえええ?そんなことあるー!?
「え、でも美優さんそんなこと一度も言ってな...」
「うん、これは私と大我しか知らないことなの」
なんか俺達みたいだな....
複雑な事情がありそうな予感がする。
てかなに?今の状況って?
寝取り寝取られでスワッピングみたいになってるってこと!?
どんなAVだよ!?
ストーリー物かよ!
実写版ですよー!
俺氏、助演男優賞ですよ!ってか?
やかましいわ!!!!
...はぁ、はぁ(えっちな意味ではない)
....え、てかそうなってくると、
一つだけおかしなことがあるんだが。
だって、間男さんは美玖とラブホから出てきたんだ。
それもあんなにいちゃいちゃしながら。
そりゃベッドの上までは知らないけど、当然やることはやってるはずだ。
じゃなきゃわざわざラブホに入る意味がない。
いやしかし...でも....
え?
だめだ、どうしても引っかかる。
だって、
だって───────
美優さんは処女だったんだから。
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