第44話 30階層守護者との戦闘
44 30階層守護者との戦闘
鋼鉄のような筋肉、そして、赤く燃える炎のような瞳。
頭は牛。体は人間。
圧倒的な肉体美の牛頭人身。
それがミノタウルスである。
そして、30階層の守護者として、多く冒険者をあの世に送り、自らもあの世に送られる。
だが、迷宮では、再度復活する。
人々はそれをリポップという。
同じ個体が発生しているのか、はたまた別の個体がどこぞの世界から召喚されているのかはわからない。迷宮の中で起こることのほとんどは、解明されてはいない。
しかし、その超強力な筋肉は、一撃で人間の冒険者を打ち砕くほどの力を備えていることだけは事実。
「ブモオ~!」強烈な牛の雄たけびが迷宮にこだまする。
ミノタウロスの周辺には、なぜか豚頭のオークが護衛にいる。
ステーキにとんかつと取り合わせは、肉肉しい。
LV28ミノタウロス、L25オークサージェント、L24オークソルジャー3体。LV22オークメイジの計6体。
対する俺たちは、俺LV28、ゴブリンサージェントLV23、プリンシパリティLV23、謎の幼女LV12、謎の少女LV13の計5人?だ。
俺以外の皆は、それなりの装備をしているが、俺だけは、粗末な皮鎧だ。
今まで、スペルゲットのために、あらゆる魔法をその身で受けて、「風穴!」と叫んでいたせいである。
特に、謎の女たちは、出所不明の鎧姿であり、かなりの代物であるのは違いない。
光沢が違う。
ミノを守るオークサージェント、そして、前衛のオークソルジャーが壁を作り、その後ろから、メイジがファイヤーアローを放つ、それは洗練された戦闘行動だった。
だが、俺は真っ先に飛び込んでいく。
そもそも、守られているミノタウロスが一番強い。そして、その剛力で振るう両刃の戦斧が当たれば、俺の粗末な皮鎧などあってもなくても全く意味がない。
たとえ、高級な金属鎧でも、中身はぐちゃぐちゃになるだろう。
「二指真空把」勝手に、ファイヤーアローをカードに取り込み、お返しに、ファイヤーボムをソルジャーの防衛線に放り込む。爆発が同時に起こる。
ボムの爆発でできた隙を縫うように走り、メイジを捕まえる。いきなりウェスタンラリアットを決めながらのネックブリカードロップ。
石畳に叩きつけながら、首をへし折る。
オークサージェントが割って入る。
「お前は邪魔だ」
「ブヒブヒ」赤い目が光る。
「そんなに、牛男とやりたいなら、往くがよいぞ」
すでに、残りは惨殺されていた。
「儂が相手じゃ、豚男よ」
そこには、謎の幼女が黒ガメを構えて立っていた。
丁度黒ガメに隠れる程度の背丈だ。
オークは、黒髪の幼女に任せて走る。
こうして、俺はたった一人で巨大な牛男の前にたつ。
身長は、2m30cmはあろうかという巨人しかも2本の角がうねって生えている。
俺は、何とか180cmに達しようかとする身長。
それでも、並べば大人と子供位の差になる。
「勝負だ!」
「ブモオッ~」
俺とミノタウロスは同時に叫んだ。
そこに迷宮探索の感じは欠片もない。
そうこれは、戦い。まさに肉弾戦。死闘の始まりであった。
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