第2話

「オリヴィア、無事に婚約解消されたし、ボクと結婚しない? ボクなら王妃より裕福な暮らしを約束するよ。それに、オリヴィアが作りたい物を作れるのはボクだけだ。この間作ったボールペンは難しかったけど楽しかった。他にも作りたい物があるって言ってたよね? 色々作ろう。きっと楽しいよ」


サイモンが、見た事もない大きな宝石の付いた指輪を出してプロポーズしてきた。


「私は剣しか出来ないが一生オリヴィアを守る。国王陛下のように、浮気など絶対にしない。私が守りたいのはオリヴィアなんだ。それに……その、またクッキーを作って欲しい。頼む、私と結婚してくれ」


マーティンが、正式な騎士の礼をしてわたくしに求婚してきた。わたくしがアイザックの浮気に泣いていた事を、知っているからだ。


「オリヴィア、長いことお疲れ様。僕はいずれ宰相になる。お金だって稼げるようになるし、身分も高くなる。それに、オリヴィアの事をよく分かってるのは僕だよね? アイザックみたいに的外れなプレゼントなんてしないよ。これ、今のオリヴィアが一番欲しい物だと思うけど、違う? 僕はオリヴィアが好きなんだ。結婚するなら、僕にしときなよ」


エドワードが、わたくしが2年前から探している本を恭しく差し出した。


「俺は他の求婚者と違ってもう25だ。けど、オリヴィアを守るし、オリヴィアに俺を守って欲しい。愛してる。俺と結婚してくれ」


短い言葉に、的確にわたくしが欲しい言葉を詰め込むモルダー先生。わたくしがただ守られるだけなんて嫌だと言った事を覚えて下さっていたのだ。


「なっ……! お前ら何やってんだよ! やっとオリヴィアが自由になれたのに……! お前らなんかに取られてたまるかよ!」


増えた?!


待って待って! その殺気は色々まずいやつ!

お願いだから落ち着いて!


あまりの出来事に気を失いそうになったら、ヒロインであるロザリーが助けに来てくれた。


可愛らしい顔を歪め、目を吊り上げている。


「アンタ達、いきなりオリヴィアにプロポーズするなんて何考えてんのよ! オリヴィアはやっと自由になったんだから、ゆっくりさせてあげてよね! 全員散れ! オリヴィア、大丈夫よ! わたくしが貴女を守るから! わたくしの護衛の半分を、オリヴィアに付けるわ! あんなケダモノ達、絶対に近寄らせないから!」


待って! わたくしは平民よ?!

王妃の護衛を付けるなんて意味が分からないわ! ロザリーの行動がトドメとなり、パニックになり気を失ってしまう。


「オリヴィア!」


倒れるわたくしを助けてくれたのは、やっぱりあの人だった。遠くなる意識の中、わたくしはこの1年間の事を思い出していた。

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