俺の嫁は暗殺者
中城セイ
第1話
俺の名はクリストファー・レミシュタン・フォン・ボリファスト=デフィルシャー。デフィルシャー王国の王太子である。歳は21で、弟と妹が3人ずつ6人いる。母親が同じなのは妹1人で、後5人は母親が違う。俺は正室の子で嫡子だったので、そのまま王太子になったが、弟たちが優秀なので、弟が王になればいいと言うものが多い。まあ、俺は平凡だからな。そんな俺にも嫁がいる。名前はアニスといって、現在の王太子妃だ。3つ下の18歳だが、かわいい娘で、一目惚れして3年前に告白。当時の婚約者と合わず、弟の一人に寝取られたので、婚約破棄からのアニスとの婚約がすんなりいった。ちなみに、その弟は王位継承権を剥奪された。彼女はカルネシア伯爵の庶子で、俺と出会う1年前まで庶民として暮らしていたそうだ。だが、母親が亡くなり、伯爵家に引き取られたという。1年で貴族の子女が通う王立学園に編入できるほどの才女で、王妃教育も半年で終えた。俺には勿体ないほどの女性だ。さらには婚約者時代からお茶会を開き、貴族からの情報をもたらしてくれた。その情報から色々な政策を父王に提案もできた。それによって、父上も俺を王太子に置いてくれる。王太子妃として懸命に頑張ってくれる、そんな彼女を、俺は愛している。
おっと、そういえば今日は俺の同母妹ロクアートの18歳の誕生日だったな。アニスと共に祝ってあげよう。
現在貴族は3つの派閥に別れている。第三王子派と第四王子派、そして、元第二王子派だ。それぞれ、魔術師系の第三王子派、インテリ系の第四王子派、武術の元第二王子派といった別れ方だな。俺?俺は庶民派と言われ、派閥の貴族は嫁の実家のカルネシア伯爵だけだな。
ちなみに国民からの人気だと、一番人気は第三王子、次いで元第二王子、俺、第四王子と続いている。まあ、第四王子が進めた政策は国民に出血を強いて貴族を豊かにするものなので、国民の人気はない。俺は……存在感がないからかな。
王立学園時代の成績は、元第二王子が武術で首席の総合三位、第三王子が魔術で首席の総合首席、第四王子が学力で首席の総合首席を取っている。俺?俺は、全部中の上くらい。俺の学年の学力の首席は元婚約者のメリーシャだったからなあ。俺の嫁は王立学園初の女性で総合首席だった、全科目で。ロクアートもひとつを除いて全教科首席だったんだけど、同い年にアニスがいたからなぁ。ちなみにロクアートが首席を取れなかったのは武術だけだったんだ、そりゃ、武術以外は点数勝負で満点を取ってたらそこの差しかないよね。
「ロクアート、誕生日おめでとう。これプレゼント。」
「あ、お兄様。ありがとうございます。」
「ローちゃん、誕生日おめでとう。はい、プレゼント。」
「あーちゃん、ありがとう。」
妹と嫁は同級生でライバルで親友だった。だから今も仲が良い。
「で、あーちゃん。何人くらいいる?」
「んー、5人だね。」
「うちのはまだまだだなあ。」
「私が処理しちゃう?」
「あ、お願いできる?」
「もちろん。5分ちょうだい。」
「いいよ。」
「では、あなた、ちょっとお化粧直しに行きますね。」
妹と嫁の会話内容に苦笑する。
「いってらっしゃい。キレイにして俺の横に戻ってきてくれ。」
「はい、では。」
俺は、ここに来てしまった暗殺者に心底同情した。なにせ、俺の嫁は、王太子妃で暗殺者なんだから――――――――――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます