第3話
「やっぱり街は凄いね!」
アイラは久しぶりの街に興奮していた。
俺に良い思い出がなかったからあんまり街には寄りつかないようにしてたからな。
そうなるのも無理はない。
大きな家にたくさんのお店。クエストを発注できるギルドなんかもある。
「こんなにいろいろな物があったんだな」
俺もアイラと同じく久しぶりに街に来たので驚いていた。
美味しそうな物もたくさんあったが生憎今まで自給自足で過ごしていたためお金がなく買い物は出来なかった。
なぜかお金を作るスキルはロックされているらしい、、。
今まで困ったこともないしいいんだけどね。
「たくさんお店がないと人ってこないのかな~」
ぼそぼそっとアイラが呟いた。
たしかにお店が多ければ、いろいろな物を取引しに来る人も多くて人口は増えてきそうだ。
だけど、俺たちの所で一つ店があったところでだれも俺たちの店には訪れないだろう。
やはり最初にある程度の人数は必要だ。
どうしようかと考えていると、一つの建物が目に入った。
「孤児院か、、、」
ここの子なら、もしかして、、!
「あら、珍しいお客さんですね。こんにちは。」
俺たちが孤児院に入ると保母さんが迎えてくれた。
中には15歳くらいまでの子ども達が30人ほど居た。
元気な子もいれば一人で本を読んだりしてる子も居る。
「子どもをお捜しですか?」
「あー、、そうです。」
一応見に来たが、子どもを引き取りに来たと決まって居るわけではないので反応に困った。
「ここの子達はみんな親に捨てられたんですか?」
失礼な聞き方だとは自分でも思ったが、保母さんは快く答えてくれた。
「いえ、捨てられてしまった子も居ますが魔物に両親を殺されてしまった子、親から虐待されて自分で逃げてきた子、理由は様々です。」
「そうなんですね、、」
突然の来客に子ども達も驚いているのか、ずっとこっちを見て動かない子もいる。
「久しぶりに人がきたぜ」
「誰か引き取っていくのかな、、、」
「まじかよ、いやだな」
俺たちのほうを見ながらこそこそと話している子達も居る。
「そういえば知ってるか。この前貴族に引き取られたガイのこと」
「うん、しってるよ。引き取られたはいいけど結局奴隷貿易に売り飛ばされたんだってね、、」
「ええ!?そんな、、、、じゃあ私達もどこかに売り飛ばされちゃうの?」
なんか怯えながら女の子には見られている。
「こら!こっちばっかりみてないで向こうで遊んでなさい!」
そういって保母さんは庭の方を指さした。
子ども達は各々返事をしながら散っていった。
「さあ、ここでは落ち着かないと思いますのでこちらへどうぞ」
保母さんに俺たちは応接室に通された。
「ねえシンヤ。もしかして孤児を引き取って私達の街大きくするの?」
「まだ分からないさ。話を聞いてみてからだな。」
「ここでは孤児の引き取りにはお金を貰っています。」
「お金ですか?」
保母さんは応接室についてからいきなりお金の話を始めた。
「ええ、やはり孤児院の運営にもお金は必要なので。」
それはそうだろう。
この保母さんの給料や子ども達の食事などのお金はかかる。
確かに分かるのだが、、、最初にする話かという疑問は残る。
「これがうちの孤児院の料金表になります。」
そして保母さんが取り出したのはスキルによって金額が決められた子どもの料金表だった。
この保母さんは金のことしか目に入らないのかもしれない。
たださっき見た感じ、子ども達が痩せていたりしていることはなかった。食事などはしっかり与えているんだろう。
それにしても最低額が5万金貨なんて、普通なら豪邸が建つレベルだ。
「あの、、こんなに高いんですか?」
「ええ、ただどこもこんなような物だと思いますよ。」
少し考えさせてくださいといって俺たちは孤児院を後にした。
「にしても凄い金額だったね。私の村でもお金はあったけど一番高い物でも銀貨1枚で買えたのに、、」
「そうだな、、」
子どもを引き取るのにお金がいるのか、、それなら孤児院も厳しいかもしれないな。
「待ってください!」
先ほどの孤児院から走ってきたのか、後ろから先ほど話した人とは違う保母さんに呼び止められた。
孤児院の中には殆ど入らなかったので、きっと子ども達の世話をしていた保母さんなんだろう。
と思って顔をよく見ると、、
「え、、、、」
似ていた。俺が家で虐げられていた時に守ってくれていたメイドさんに。
「あの、、、少しお話しを聞いてくれませんか!」
保母さんに連れられて人気がないところに3人で来ていた。
「それでどうしたんですか?」
「助けてくれませんか!」
いきなり助けを求められても何のことか検討もつかない。
「落ち着いてください!ゆっくり事情を話してください。」
アイラが保母さんをなだめて落ち着かせる。
「すみません、、、。実はあそこの孤児院は貴族の人と繋がってて、その、、、貴族に買われた子達は奴隷として売られて酷い仕打ちを受けているんです、、。金額が高いのも貴族の人だけを顧客にしているからでさっき応接室で話した保母さんはその貴族の人から多額のお金を貰う代わりに奴隷としてつかえるように教育してるんです。体罰を日常的にして言うことを聞かせられるように、、。」
そう涙ながらに話した。
「でもなんでそれを俺たちに?」
「私には人の色が見えるスキルがあるんです。」
スキルがなくて王族に捨てられたけど、実はスキルを想像で作れちゃうチート能力だった。 あずきもち @azukimochimochi
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