僕と君の1000km

虎龍

第1話 K.H

 俺はとある市立高校の3年生。この学年では一番の成績を修めている。身長は高めであり、顔はお世辞にもかっこいいとは言えない。それに加え、運動も苦手である。そんな俺の名前はまだな…小久保珀藍こくぼはくあという。かの有名作家の台詞を引用しようとしたが、流石にそんな度胸はなかった。俺は時々このようなことを口走ってしまうため、クラスメートには嫌われているようだ。なんと残酷な現実だろう。と、そうこう考えているうちに今日の学校が終わってしまった。あとは家に帰って今日の分の課題をし、推しである「きゅうさん」のキュウスタライブを見るだけで今日も一日が終わる。なんと計画性のある一日だろうか。そんなわけで俺は、終礼が終わると速攻家に帰った。


〜3時間後〜


 「ふう…今日の分の課題と明日の予習まで完璧に終わらせた!ご飯もお風呂も済ませたし、あとは…きゅうさんのライブを見るだけだ!」


俺は勉強用の机とは別の机の前に座り、パソコンの電源をつけた。

(今の時間は…午後8時37分か。今日は9時からライブを始めるって言ってたしな…ゲームでもして時間をつぶすか)

そう思い、俺は弾幕シューティングゲームを立ち上げた。最近、きゅうさんのライブを見ている人の中で流行っている作品だ。ただ、うちの学校では流行っているどころか知っている人すらいなかった 。なんと悲しいことだろうか…

 どうにか苦戦しながら二面ボスを倒した頃、ちょうどいい感じの時間になっていた。

「キリが良いし、そろそろキュウスタを開いて待機しておくか…おっと、ちょっと早いけど始まってたな」

俺は急いでアプリを立ち上げて、すでに始まっているライブに入った。そして、コメントを送った。

「すみません!遅くなりました!」

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