閑話 ある赤茶少女の体内の話

 宿主やどぬしイチヨに対し、個体名ハモンの体内ナノマシンより継続的けいぞくてきな指示を受信。

 指示内容は個体名ハモンに宿主が好意を持つように誘発する事。

 以前と同様に承諾しょうだくする。


 本件について再確認。


 個体名ハモンの体内ナノマシンの指令に対し本体に積極的拒否権は無い。

 また宿主を個体名ハモンが守る為に宿主が個体名ハモンへ好意を持ち共依存きょういぞんの関係をきずく事は生存戦略として正しい。

 以上2点より宿主イチヨの保護という本体の絶対的役割を侵害しんがいしない指令と判断。

 消極的拒否権の行使は宿主の生命危機に繋がると判断。個体名ハモンの体内ナノマシンからの指令を積極的に採用。


 宿主イチヨの脳内快楽物質の分泌ぶんぴつ条件を調整。個体名ハモンについての思考時に少量が分泌される様に変更。

 更に宿主が個体名ハモンと積極的なスキンシップを図る様に誘導ゆうどう。その際に個体名ハモンの両腕の自由を奪わない程度のスキンシップにおさえる。この配慮はいりょは個体名ハモンから宿主へのスキンシップを誘発する為のもの。


 個体名ハモンからの好意を引き出す為の行為に対し宿主の集中力が向上する様に調整。料理を含めた家事全般を行う際にの思考の介在かいざい阻害そがいする。


 なお、個体名ハモンの体内ナノマシンが出す指令の終了条件は不明。

 本指令により宿主の脳機能への調整を続けた場合、高い確率で個体名ハモン以外への視認能力に障害をもたらす。

 障害が発生するまでの期間は不明。バイタルデータからは最短で1年、最長で10年と算出。誤差9年の原因はメンタル変化の影響が非常に大きい為。


 保護者を失った宿主の生命保護を最優先とする現時点で個体名ハモンからの好意は最重要項目。

 個体名ハモンの体内ナノマシンが提唱ていしょうする両名のパートナー化に同意。


 再確認を完了。


 なお、宿主イチヨの生存戦略として個体名ハモンの体内ナノマシンから受信した指令以上の方法は考案こうあん出来ず。

 宿主の生存戦略に変更がない限り宿主の視覚障害は許容きょようする。これは視覚障害が亜人への認識に由来ゆらいするもので生命活動への支障が無い為。


 今後も宿主イチヨと個体名ハモンとの良好りょうこうな関係構築を助けるべく宿主への調整を続行する。

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