第七幕 戸惑いの中
大通りでの
今日の客は数日で見慣れた行儀の良い客が多くハモンも座っているだけだ。その客も色町という裏家業と切り離せない場所で楽しく安全に遊べると嬉しいと笑っている。
閉店間際、今日は閉店後に
ハモンやイチヨの仕事も閉店に合わせて終わるので軽食の後に寝るだけだ。
そう思っていたハモンだが、
目元だけを
「キャー、ユウゲンさんいらっしゃい!」
「アタイ今からお付き合いできますよ!」
「アンタはさっきまで
「そもそも閉店間際だよアンタたち」
急に現れたユウゲンに色めき立つ遊女たちだが、ハモンは
夕暮れ時の
「済まない。今日は白革羽織の彼に用が有る」
背後の
「何だ?」
「
あまりユウゲンと共に居たくはないが彼と縁を持ちたい遊女たちが話しを進めてしまう。いつの間にか業者との
畳に置かれた机は四脚が
「さて、あまり
「ああ」
「まず
あまりに庶民的な言葉を聞き、ハモンはつい吹き出してしまった。
ユウゲンも先程までの生真面目な岡っ引きとしての
「分かった。
「いや。行き付けが有る。
「良いだろう」
入れ替わりで
襖を閉じる直前にユウゲンを見れば
「イチヨ」
「あ、
ハモンは静かにイチヨの背に手を回して階段へ
廊下や階段を行く遊女や娘たちも最初は
ハモンも同じ立場なら同じ様な態度に成るので
自室に戻り襖を閉める。
防衛都市で軍人に襲われたという話から
イチヨの肩に手を置いて少しだけ離し、
「大丈夫なの?」
「ああ。
「そんな事してたんだ」
「大通りを歩いていて
「良いなぁ」
そう言うが本心には聞こえなかった。
「帝都に来て一度も共に外に出ていないな。偶にはどうだ?」
「え?」
ハモンの提案が意外だったのかイチヨが不思議そうに顔を上げる。
確かに今までハモンは彼女を自主的に連れ出す事が無かった。防衛都市でハナも含めた三人で外出したのもイチヨとハナが望んだからだ。
面倒を見ると約束してこれでは怒られても
ただ夜通しの仕事で眠いのは事実。
「今日は寝るとしよう。外出は、イチヨの
「うんっ。あ、お
最大限、気を
腕を
そんな彼女を尻目にハモンは先に押し入れから布団を出して敷く。
着替え中のイチヨを見ない様に注意し、白革羽織やジーンズを脱いで浴衣に着替える。
外出の約束が嬉しいのか先に着替え終えたイチヨが布団に飛び込んだ。
浴衣に着替え終えたハモンが振り返ればイチヨは腕を振って待っていた。その
「
「あれ? えへへ」
掛布団の上にイチヨが寝転がっている為に布団に入れない。
どうせ
行儀が悪いと自覚しつつ足で掛布団を
横向きに成ったイチヨが
そんな彼女を受け入れる為にハモンも横向きに成った。
イチヨの額がハモンの胸に
このままでは首が痛かろうと腕を彼女の頭の下に敷いて抱き寄せた。
帝都に来てから、いや旅を共にした頃からの習慣。
イチヨの少し高い体温を
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