魔法少女になりたい!
なおにゃる@本命はなろうです()
第1話 魔法少女になりたい!
ああ…。
私、
魔法が使いたい…中学二年…。
決して、廚二病ではない…。
クルミっていう魔法少女になりたい…。
そしたら、最高なのに…。
でも…。
この世界に魔法少女は存在しない!
なんでだよ!なんでアニメとかでは魔法使えるんだ!
私も魔法使いたかったのに!風魔法とか!
こうなったら、もう、私が最初の魔法少女になって、無双しまくってやる!
***
――ジリリリ!リリリ!リリリリリ!
目覚まし時計がうるさい。
――リリリリリリリリリリリリリリリリ!
うるさーい。休みなんだから、もうちょっと…。
――リーリリ。リン。リリリリ?
あれ?なんか、いつも聞いている音と違う気が…。
――リル!リリーン!
おかしいな。私の目覚まし時計はこんな可愛い音は出さない。
――起きろや!
「うわ!?」
予想外の声が響いたので、急いで布団から飛び起きる。魔法少女になった時用の日々考えていた布団による防御態勢を――。
――やっと起きたな。まったく、もう朝の6時だぞ。
「早いわ! もう少し寝させろ!」
私は布団防御態勢――団子みたい――を必死で保ち、謎なモノに思わず突っ込みしながらも、心の中は結構荒れていた。
ああ! 防御体制のせいで姿が見れん! 見たい! ものすごく見たい! きっと、魔法少女ものに出てくる、勧誘みたいなものだと思う! 僕と契約して魔法少女になってよ、的な! 絶対可愛い! モフモフだね!
そんなどんどん拡大していく思考を、謎なモノのデリカシーの無い質問が遮った。
――はて、いつまでその恰好をするんだ?
「好きでやってるわけじゃない!」
そう! 決してすきでやっていわけではないのだ! これは警戒! 必死の警戒!
でも、少し見たい! 見ていいよね! 少しだけ…。
そう思い、布団の隙間からそーっと覗くと…。
そこには、猫に鳩の羽根を合わせたようなものに、狐の尻尾がくっ付いているようなものがこちらをのぞき込んでいた。ちなみに色は薄い琥珀色である。
羽根付き猫狐…?可愛い可愛い可愛い。
――失礼な。
「おい!心の中読むなや!というか、猫狐!喋れ!声が聞きたい!」
「しかたねーな。喋ってやるよ」
「可愛いいいいいいいい!!」
まさにドンピシャ!パーフェクト!布団の中でハイジャンプ!
「俺は猫狐じゃない。エピーだ」
エピーか! 可愛いな! ふてくされてるところも可愛い!
「それで、何しに来たの? 魔法少女? いいよ!」
なぜか布団から顔だけ出して自問自答をした。
「うーん、ある意味そうなんだけど、この反応はちょっと予想外だったなあ」
「なんだよ!私の絶望に浸っている顔を見たかったのか!?」
「ある意味そう」
「ひど!」
まず、俺の存在を受け入れられるのが異常なんだよな…なんて、エピーはブツブツ言っていた。
それにしても、私の絶望顔かぁ…。まあ私は魔法少女大歓迎なんでね。はっはっは。
「さてと。ちゃんと最初からやんないと儀式失敗になっちゃうんでね。一からやりますわ」
そうエピーが言うと、ふざけている雰囲気から一変、空気が張り詰めたとなった。
「
その瞬間、部屋が真っ黒に染まり、布団が消え、私は無理やり立たされて、足元から水色の魔法陣が展開される。
夢にまで見た、憧れの瞬間。
「魔法と繋げる部屋、マジックコネクトルームへようこそ」
エピーがにこっと微笑んだ。
「俺はこの世界の魔法の
そこで言葉をくぎったエピーは、突然小さい薄い琥珀色の右腕を上げた。
そして小さく「ライト」と、つぶやく。すると、右手がぽわっと光って明るくなった。
「見ての通り、俺は魔法が使える」
初めての、魔法。すごい。すごすぎる。やべぇ、興奮してきた。
「で…
ほお、お願いパターンか。こういうのは報酬を求めるのが一番一番♪
「じゃあ、その代わりにエピーは私に何を差し出すの?」
エピーが、こいつ、抜かりない…って顔をした。
「俺が差し出すものは、【
「それは、どんなもの?」
「名前の通り、魔法が作り出せる。君は始まりの魔法少女だから、様々な魔法を作り出してもらわないといけない。そして、これは、ユニークスキルだ。唯一無二の、君だけのスキル」
「なるほど。ちなみに何か願いを叶えてもらう的なことは?」
「そうしてしまうと、主従関係が有無を言わさず結ばれてしまう。もう、これ以上犠牲を出したくない…」
それまで笑っていたエピーの顔が曇った。
「どういうこと?私の前に魔法少女がいたの?」
「別の世界での話だ。この世界ではない」
「…そう」
エピーの表情が、なんか妙に引っかかる。
「話を戻すぞ。それで、どうする?魔法少女になるか、否か。まあもう、君の場合は決まっていると思うが…」
もちろん。私はこの瞬間をずっと、ず――っと待ちわびてきたのだ。
「私は、魔法少女になる!」
そう高らかに宣言した瞬間、足元にある半ば忘れかけていた魔法陣が一際明るく光を放った。
眩しくて、思わず目をつぶる。
その時、頭の中にルピーの声が、今までよりずっと重く響いた。
――目が覚めたら、首元を見て。ネックレスが君を導く。
光が収まったので、目を開けると、そこは見慣れた私の寝室だった。
首元を見ると、ばっちり水色のネックレスが…。
こんなに事がうまく進むものか?とぼんやり思った。
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