第二十一話 ワケありな住人訪問ツアー(?)
僕たちは牛峯さんの隣にある家を訪ねる。
だけどさっきの家の真隣だから、強烈な腐敗臭に再び襲われる。
人への一好意だけでこんなとこに住めるものなのかと僕たちは恐ろしさを感じながら晴樹くんにノックをお願いした。
「
そう言って晴樹くんは住人を呼んでくれた。
ガラガラッ
晴樹くんが呼びかけてから間もなくして戸が勢い良く開いた。
「おぉ、なんだ伊斯波ソイツらは?」
すると中から見た目20代後半の180cmを軽く越えるめちゃめちゃ筋肉質のガタイの良い男性が出てきた。
「どうも古賀さん、実は今ちょっと旅の方をご案内中でして〜......」
晴樹くんは先ほどと同じようにざっくりと経緯を説明してくれた。
「俺は別に光に影響が無いなら何だって構わねぇぜ。ゆっくりして行け」
そう言って古賀さんは白い歯を覗かせキラリとした笑顔を見せた。
うーん...これでさっきの背景を聞いて無ければ爽やかな良い人で 終われたんだろうけどなぁ...。
僕たちはとりあえず古賀さんに軽く自己紹介をする。
「よろしくな坊主共!俺は
うぉい!サラッととんでもない事言ったぞこの人!!!
「伊斯波が普通の感じで対応していたから思い留まったがな。光を襲う強姦魔とかだったら即ぶち殺してたな」
僕たちは全身に冷や汗をかきながら晴樹くんが着いてきてくれた事に心から感謝した。
爽やかアニキのテンションでとんでもないこと普通にぶちかます人だなぁ..
「それよりお前らこれから他のとこにも挨拶して回るんだろ?だったら次は
そう言って古賀さんは次に回った方が良いお宅を教えてくれた。
多分この人、牛峯さんが関わってない事柄に関してはまともなのかもしれない...。
僕たちは古賀さんにお礼を言って、その場をダッシュで後にした。
だって牛峯さん家の腐敗臭が普通に漂ってるし...。
それから僕たちは古賀さんに教えてもらった二軒を順番に回る事にした。
とりあえず一件目の
晴樹くんは先ほどと同じように玄関をノックする。
すると扉から長い髪を後ろで一つに縛った40~50代ぐらいの男性が出てきた。何かちょっと酒臭いような...。
今のところ全お宅で嗅覚にダメージ来てるんですが...
「何なんだキミたちは?えぇ?」
かなり警戒した感じで僕たちを一瞥する。
僕たちはいきなりの雲行きの怪しさに不安になったが、晴樹くんは態度を崩さず接する。
「どうもー宍戸さん実はですね〜......」
晴樹くんは先ほどと同じように僕たちの説明をする。
「フン、ただの旅人なら別にいい。この前みたいに訳の分からん輩で無いのならな」
宍戸さんは僕たちが探してる方たちに対してかなり悪い印象を持っているようだ。
「腹立たしいやつらよ。突然現れて獣人を討伐するとか言って集落の人間を何人も殺しただけでなく、誰かを獣人にしていきおった。」
宍戸さんは溜まっていた不満を漏らすかのように僕らに向けて話し始める。
僕らがその人たちを慕って追っているなんて知ったらなんて言われることか...。
「そもそも本当に討伐したかもオレは怪しんどるだ。集団で来てその中の誰かが集落で誰かを殺して、それを獣人が出たとアイツらが言い出し、そこから獣人探しと抜かして堂々と殺戮をして最終的には自分たちが集落の誰かを獣人に変えて去っていった。オレはそう睨んでる。異能力者なんて胡散臭いも良いとこだ。あの殺戮集団め...!!」
僕は祐葉を横目でチラッと確認した。肩がわなわなと震え、ギッと奥歯を強く噛み締めている。
確かに慕っている方たちを事情を知らないとは言え、こんな事を言われたら思う所は確かにある。
他の皆も似たような表情やリアクションをしている。言いたい事をグッと堪えているのだろう。
すると貴船が突然口を開いた。
「俺たちはその人たちと特に関係ないから大丈夫です。お邪魔しました」
そう言うと貴船はくるっと振り返り、足早に立ち去った。
僕たちは宍戸さんに軽く会釈をして急いで貴船の後を追った。
いつも見ない貴船の態度に僕たちは驚きと心配を隠せなかった。
「...............ば良いのによ...!!」
貴船が吐いたセリフを僕たちは聞き取れなかった。
そして、そのセリフが何なのか聞くことも出来なかった...。
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