第三話 夕食の準備
「恵里菜.....テメェいきなり居なくなりやがった思ったら..」
「あはは〜ごめんごめんww」
泣きそうな目で恵里菜を睨む
ちなみに恵里菜は僕と祐葉が正座させて朔矢の話を聞くよう押し通しました。なのに当の本人と来たらリアクション軽いのなんの......。
朔矢は不良のようにしゃがみこみ恵里菜にメンチ切っているが全く反省する様子のない恵里菜。その図太い神経は一体どこから......。
これは朔矢も怒るかと思い恵里菜に注意をしようと思った矢先ーーー
朔矢はくるっと身体を回転させ、近くの木の前で体育座りをし、幹をなぞり始めた。
「俺はいらない子ですかそうですか......言ったところで聞く価値が無い人間って言いたいのか、俺はクビか?追放か?チートスキル手に入れて世界救うか?そんなもん付与されねぇよってお前ら言うだろ?あぁ事実だよ、俺は何も持ってねぇ、何にも恵まれない哀れな男だよ......俺なんて.....俺なんて.........」
あぁ、始まっちゃった......。
朔矢は割とすぐいじけちゃうから、自由過ぎる恵里菜とは相性が悪い。
食料調達の時のグループ決めもうちょい配慮すべきだったなぁ.....。
僕や恵里菜よりも小柄な男の子。
メンタルがとっても弱くてすぐいじけちゃう繊細な子。でも皆から時には弟のように、時にはマスコットのようにいつも可愛がられているメンバー最年少。
彼の見た目は目の周りの大きな隈取りが特徴。
上は眉毛、下は頬骨にまで届くほどの大きい隈取りが両目に入っていて、絶対に落としたがらない。
改めて思うとこだわり強いメンバーが多いなぁ、僕たちのグループ。
「そういえば恵里菜はどうして朔矢を置いてこっちに来たんだ?」
祐葉はいじけてしまった朔矢をスルーして恵里菜に疑問を投げかける。
「あぁそれは ーーー」
恵里菜は僕の顔を見たと思ったら、妙に艶かしい笑顔で近づき、ガバッと僕に抱きついてきた。
「愛する佐斗葉の顔がどうしても見たくなって!!」
「グループ分かれてからまだ10分も経ってないよねぇ!?あとじゃあ何で蹴ったの!?」
「見つけてくっつこうと思ったら肩落としてたから飛び蹴りの喝入れに変更しました!」
「なんてはた迷惑な気遣い!!」
「いいじゃ〜ん!佐斗葉を愛する恵里菜ちゃんからの愛の激励だぞ♪」
「何か一途が間違ってませんか!?」
......この距離間は未だに慣れない。
恵里菜はウチに対していつもこんな感じでくっついてくる。
いやまぁ嬉しくないかって言われたら嘘になるんだけど、恵里菜の顔は正直に言ってめっちゃ可愛いし、上着着てるから分かりづらいけど、抱きつかれると分かるそのスタイルの良さも相まってちょっと反応に困ると言うか......。
そんな僕たちを見て祐葉は愛でるような視線を向けつつまた話を振る。
「そういえばそろそろあっちも来たみたいだぞ」
そう言って祐葉が指さした方向に僕たちも目を向ける。
そこには一頭の鹿を二人がかりで運ぶ僕たちのメンバー、雪嶺と澁鬼がいた。
「おっつー、何?あんた達またイチャイチャしてんの?」
「くだらねぇことしてねぇで、さっさと運ぶの手伝え」
「いや別にそんな事はしてないからね!?」
僕は二人に慌てて反論する。
「恵里菜にハグされた状態で言われても何も説得力ありませ〜ん」
雪嶺はそう言いながら捕らえた鹿を地面に下ろす。相変わらず女性なのに僕より全然カッコよく見える。
僕より10cm以上背の高い黒髪ロングのスレンダーなお姉さん。多分年齢は僕より5個ぐらい上のはず。
柔らかい雰囲気で、常に周りを冷静に見れる頼りがいのある人。
僕よりほんの少しだけ背の高いお兄さん。年齢は雪嶺よりは下のはず。
常にしかめっ面で言葉もちょっと粗雑。でもグループの中で一番真面目で
努力家。
右半分が外ハネのセット、左半分がおかっぱ頭というかなり特徴的なヘアスタイルをしている。
「とりあえず飯の支度すっからな、ちょっと待ってろ」
「よし、俺も手伝うか」「あたしも〜」
祐葉と恵里菜はそう言って澁鬼たちの所へ歩く。
よし、じゃあ僕も ーーーーーーーー
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「佐斗葉〜ご飯出来たよ〜」
「はーい」
何故か僕は調理部隊に最初から外され、盗賊が来ないかの見張り番をさせられた。
余談ですが、朔矢は皆のフォローもあって復活しました。
恵里菜が余計な事を何回か口走りそうになったので、雪嶺に担いで遠くへ運んでもらいました。
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