episode 007

これで後顧の憂いなくことに臨める。

で、どんな奴から殺そうかと考えた。


自宅マンションから車で10分ほどで行ける名古屋市東部の平和公園へ鼓太郎と散歩にでかけたときに、ある張り紙が公園の樹木にくくりつけてあるのを見た。

どうやら2頭の犬を連れた男が公園で暮らす猫たちに犬をけしかけて食い殺させているというもので、これは立派な犯罪で今後目撃した場合は警察に通報しますよ、という警告書だった。

通報したところで警察が真剣に犯人探しをしてくれるとは思えないし、もし見つけたところで微罪で放免されるのがオチだ。

なんせ野良猫を駆除しただけなのだから。

それに警告書を見て反省するような奴は最初からこんなことはしない。

こいつは正真正銘のクズだ。

そこで、まずは手始めにこいつから殺すことにした。


平和公園というのは、名古屋市東部のおおよそ周回4kmの丘陵地に中に多くの墓地が林立する巨大墓地団地と、週末ともなるとデーキャンプ場と化す芝生広場、メタセコイヤ広場と名古屋では桜の名所として有名な櫻の園、江戸時代に作られた人工池、猫ヶ洞池などが点在する墓地なのに昼間は誰も気持ち悪いとか怖いとか薄気味悪いとか感じないファミリーにも人気のスポットだ。

名古屋市の公式ホームページでも、”レクレーション・観光施設”のカテゴリーの中で紹介されていて、昭和22年、戦災復興土地区画整理事業の一環として、市内に点在する279寺の墓地約18ヘクタール、189,030基を市内の東部丘陵約147ヘクタールの土地に移転することとし、この地区を平和公園と称し、墓園として計画し、昭和56年9月には墓碑の移転も完了し、公園の整備が進められてきました。また昭和48年には南部地区が都市計画墓園事業の事業認可を受け、既存の緑をいかし、市民が気軽に親しみ利用できるよう散策路等の整備がされています。

という実際の公園を知らない人には、???という記述になっている。


そんな樹木も豊かな公園なので、自由な地域猫もいくつものグループをつくって生活してる。

その中でも私が勝手にそう呼んでいるだけだが、チームHの圧倒的センター、白黒ハチワレ模様のちびちゃんは、行動範囲も広く愛想も良いことから、地域猫を勝手に世話するオジサンやオバサンからも呼ばれる名前はそれぞれ違うものの人気を博していた。

その他にも、チームE、I、W、Aがありそれぞれ3から5匹程度で構成されている。


私はちびちゃんが心配になり、鼓太郎との散歩中によく見かけるあたりを探してみたのだが、見つけることはできなかった。

ちびちゃん以外なら良いかというと、そんなことは全くないのだが、もし、ちびちゃんを犬に食い殺させたやつがいたのなら、そいつは確実に地獄に落とす必要がある。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る