地元函館

どれくらい集まるのか

マンガ家赤松碧波の「石岡杏子と子グマのリナちゃん物語」は年を越しても速報そして発売号にて1位を獲得をする。


人気作品だねの賞賛のコメントもあればここまで来たら出来レース、別枠にしないと他の作品が可哀想と賛否両論の意見が寄せられていた。


1位にいるのが当たり前だとは思わないし、常に不安は付きまとう。この作品がいいと思ってくれているから、順位に反映されていると自負している。


そういう意見を聞くたびに有無言わせないようにするには内容と結果しかないと毎週取り組んでいる。


ある日の夜、知らない番号から電話がかかってきた。

「函館市長秘書のものですが今回、赤松碧波さんにはトークイベントとして五稜郭公園で行いたいと考えているのですが空いている日程を教えてほしい。ギャラはいくらでも出すので」


ギャラはいらない、ちょっとスケジュールを確認して折り返し電話するとして電話を切る。


3月になると進学や就職が決まってバタバタするもいるだろうし、誰かが辞めるとなれば誰かを代わりに入ってもらえればいいがなるべく今いる人たちと作品を作りたい思いもある。


そうなると2月の方がいいな、バレンタインの日なら日曜日だし都合がいい。


1時間後に折り返し電話をしてバレンタインの日なら大丈夫ですが難しいなら他の日も検討すると伝えると早急に会場と時間を決めるので。


函館の星に来てもらうので後はこちらでどうにかしますと返事が来て電話が切れる。


行ける日にちを伝えるの間違えたかな、残り1ヶ月を切っていると考えれば場所を押さえたり、警備そしてチラシを作ってなどと考えたりしたら近々過ぎたかな。


春休みや夏休みの方が集まりやすいかも知れないがアシスタントさんのことも考えなくてはならない。


翌日、会場は函館公園で午後2時から開催されることが決定したと連絡が来てパンフレットを電話番号宛に送ってもらうようにお願いをする。


確認するとたくさんの収容人数が入りそう、有料ではなくて無料で見られるように要望をする。


それはお金のある人だけ見れてない人は見れないというのはよくない、公平にするためにどうにかとお願いをする。


指定席ならば家族連れを前にそれ以外の人を後ろにして欲しいといくつもの要望をする。


そこまで言うのならと無料開催が決定をする。出来る限り碧波さんの要望に応えられように広報観光課で話し合いをさせていただくので。


当日、どこに迎えに行けば尋ねられて新函館北斗駅に来てもらうことにした。理由は飛行機で東京と函館の行き来はした事あるが新幹線に乗ったことがないから。片道だけでもという思いでいた。


凱旋

新幹線で北海道に向かうべく大宮駅まで電車で行こうと考えたが乗り換えがあり、構内で乗り換えが出来ず断念、次に路線バスで行こうと考えて近くのバス停まで行って新秋津駅から大宮駅に向かうことにした。


午前8時半、大宮駅に着いてみどりの窓口で新函館北斗駅のチケットを買う。


約4時間の長旅に興奮が止まらない。駅弁とちょっとしたお菓子を買って自由席に座って発車の時間を今か今かと待っている。


定刻時間になり、新幹線はやぶさ号は発車する。


普段乗る電車とは桁違いのスピードに速すぎて景色を楽しもうにもあっという間に過ぎ去っていくように感じていた。初めて車窓に自分がどこにいるか確認するため通りすぎる駅名をみていた。


宇都宮駅、那須塩原駅を越えて東北の玄関口、白河の関を越えて新白河駅を過ぎて1時間ちょっとで杜の都と呼ばれる仙台駅に着く。


そしてはやぶさ号は盛岡駅、新青森駅を通り過ぎてトンネルの中に入る。これが青函トンネルなのかとテンションが上がっていた。


そして終点、新函館北斗駅に到着をする。降りようとすると駅弁を食べるのを忘れるほど初めての新幹線に興奮して食べることを忘れていた。


函館市の広報観光課の人が迎えに来てもらう時間までしばらくあったため、駅のホームにある待合室で駅弁を食べて改札を通って近くにあるコンビニでチョコレートの袋をいくつか買った。これで足りるか不安で電話がかかってくるのを待っていた。


しばらくすると電話がかかってきて駐車場まで案内をしてもらい車に乗り込み簡単な説明を受けながら会場に向かうことになる。


地元の人たちと交流が出来ること、この機会を与えてくれた方々には頭が下がる思いでいた。


碧波が函館公園に行くと大勢の人が集まっていて北海道の2月はまだ冬で寒いのに自分に会うためにかけつけてくれることにホントに嬉しい気持ちになる。


会場を見ると小さい子からお年寄りまで老若男女集まっている。その姿を見て笑顔になる。


予定時間になり、司会者が碧波に質問をしてくれてそれに答える。それ自体は講演会や学祭とさほど変わらない。行く会場によって伝わるように心がけている。


この日は小学生にも満たない子もいたため、その子にも分かるように説明しようと難しい言葉をなるべく使わないように気をつけていた。


中々のないトークショーだからと質疑応答の時間となる。


小さい子たちは邪念という言葉がないのか好きな人はいるのか、マンガ家になっていなかったら何になっていたかと内容と関係のないことも聞かれてタジタジになる場面もあった。


楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。これで終わるのかと名残り惜しい気持ちになっていると突然市長が登壇をする。関係者として来ていただけかと思っていたら驚きの発言をする。


「マンガ家赤松碧波トークショーにご参加していただきありがとうございます。函館を舞台を作品にしてもらい函館市民として嬉しく思い、これを記念して函館ふるさと大使に任命いたします」

会場からは拍手喝采で誰にも知らされておらず、まさにサプライズとなる。


帰りに実家に立ち寄って晩御飯を食べて最終の飛行機で羽田空港に向かった。今度来る時はもう少し北海道を満喫したいなと感じていた。

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