第61話

 「・・・」

 

 「・・・」


 「・・・」


 俺、春、エマさんは一言も発する事もせずに黙って晩御飯を食べていた。

 

 「何かあったの?もしかして、私の晩御飯がまずい?」

 

 その沈黙を破ったのは母。

 

 「イエ、ソンナ事ナイデス。とても美味シイ」

 

 エマさんが母の料理を褒めたのを切口に俺と春も続く。


 「うん、美味しい」

 

 「流石、母さん」


 俺も春も、きっとエマさんもこの沈黙がキツかった。だから、永遠にこの料理は美味しいと褒め続ける事によって会話を続けていた。

 その様子を見て、母は不思議そうな顔しながら「なら、良かった」と。

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