第47話

 「おにぃは帰ったから顔を上げれるよ」

 

 「もうちょっとだけ」

 

 冬也が帰った後。

 私はうつ伏せの状態からなかなか顔を上げる事が出来なかった。

 

 「うぅ・・ぅ・・・」


 「もしかして、泣いてる?」


 泣いてない!

 たが、半泣きである。

 ・・・だって、自分のせいで女として見られてないって冬也に言われたと勘違いしてそれで。

 

 「はぁ。莉奈さん。落ち着いてよ」


 「・・・」

 

 「私さ。この前、おにぃに告白したんだ」

 

 「へ?!」

 

 なんとも間抜けな声を出しながら、顔を上がると春ちゃんが真剣な顔でこっちを見ていた。

 

 「その告白出来たのは、莉奈さんのおかげ。莉奈さんが私とおにぃの血の繋がりを教えてくれなかったら、私は無理におにぃの事を嫌いになって距離を置くつもりだった。だから、おにぃに嘘を付いていた莉奈さんの事は嫌いだけど、感謝してる。・・・今からでいいから正々堂々私と勝負しない?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る