第41話

 「――だから、おにぃは格好いいの。分かる」

 

 「分かる」

 

 「・・・でしょ!!」

 

 私が共感すると、春ちゃんは満面の笑みだった。

 まさか、こんな楽しい会話になるなんて、思ってもいなかった。

 

 「それでさ、おにぃね。・・・」

 

 「へぇ。そうなんだ」

 

 相槌を打ちつつ、ストローを咥えジュースを飲む。

 流石にいつまでも学校のトイレで話をするのはどうかと思ったので、場所をいつものファミレスへと移している。

 

 「ふぅ」

 

 一通り、冬也の魅力を語る事が出来て満足したのか、春ちゃんは手元にあったドリンクをゴクゴクと勢いよく飲み干した。

 

 「じゃあ、次は莉奈さんが話してよ。私がどうして、おにぃが好きなのかを語ったんだから」

 

 春ちゃんの言葉を聞き。あ、そういう話だった。と思い出した。


*  *冬也の部屋*  *

 ・・・遅い。

 先に帰って欲しいと言われて、先に帰ったのだが。なかなか帰ってこない春に心配やら莉奈と何を話しているのであろうかが気になり、気が気でない状態であった。

 

 「・・・さっきから何やってるの。あんた?」


 家に帰ってきていた母が、呆れた顔で言う。


 「別に何も」

 

 「いや、さっきからうざいだけど。玄関で靴を履いたと思ったら、靴を脱いで自分の部屋に戻ったりして。本当に何がしたいの?」

 

 「・・・春がまだ帰って来ないから」

 

 「シスコン?春なら、ファミレスで――」

 

 「ありがとう、ちょっと行ってくる」

 

 母が言い切る前に、家を飛び出した俺は。全力でファミレスへと向かった。

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