第38話

 「(・・・ここで最後なんだけどな)」

 

 そう思いつつ、学校中の女子トイレに声をかけて回って三階の女子トイレまで来ていた。

 

 「莉奈ー。いるかー?」

 

 ・・・そもそもだけど、女子トイレの中に入る事など出来ない俺は外から声をかけるしかない。

 返事がないと終わりなのである。

 

 「・・・」


 返事はなかった。終わりである。

 仕方ないと思いつつ、家に帰る為にこの場を後にしようとすると、スマホに着信がきた。

 表示された名前を見て、速攻「もしもし」と電話に出る。

 

 「もしもし。・・・冬也、まだ帰ってなかったんだ」

 

 莉奈からの電話だった。

 

 「そうだけど。もしかして、三階の女子トイレに居るのか?それなら、ちょっと、出てきてほいい」

 

 「・・・それは無理。は、話ならこのまま出来るから」

 

 「分かった。このままで話をしよう。まず、謝る。ごめん」

 

 女子トイレを前に耳にスマホをあて、謝罪した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る