第32話

 夏休みまで、残り三日。


 「やらかしたぁぁぁぁぁ」


 唐突に嘆く、忠光。

 今は昼食の時間。

 クラスのみんなが教室で昼食を食べている中、その唐突の嘆きに誰も反応することはなかった。何故ならば、ここ最近ずっとこんな感じでいきなり忠光が嘆くことが多々あるから、慣れてしまったのである。

 慣れる前は、公式大会に負けてしまったのを嘆いていると思ったみんなが「惜しかったな」「来年があるよ」「次はクラスのみんなで応援しに行くから」と励ましていたが、一週間近く嘆き続けていると励ましの言葉を口にする人はいなくなってしまった。

 本当は試合に負けた事よりも、告白が失敗に終わってしまった事に対して、忠光が嘆いるなど、クラスのみんなは知る由もない。

 

 「そんなに後悔するなら。なんであのタイミングで告白したんだよ」

 

 「いけると思ったんだよ。だって、あんなに大きな声で応援してくれてたんだぞ」

 

 どうやら、二試合目の春の声援を聞き、今ならいけると思ったようである。

 

 「でも、タイミングってやつがあるだろ。結果、失敗した後の試合。素人の俺でも分かる程、明らかに酷かったぞ」

 

 「けどさぁ・・・」

 

 グチグチと言い続ける忠光と話をしていると。


 「何の話をしてるの?」と莉奈がやってきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る