第28話

 夏休みまで、残り一週間と差し掛かった土曜日。

 俺と春は二人で忠光を応援しに電車に乗って、会場へと向かっていた。

 

 「(おにぃと、遠出デート楽しい。おにぃと、遠出デート楽しい)」

 

 横に座る春を見ると、かなり上機嫌のご様子。

 それはそうか。だって、忠光想い人に会いに行けるもんな。

*  *試合会場*  *

 「・・・凄いな」


 賞賛が零れる。


 一試合目。

 絶好調の様子である忠光はハットトリックを達成させ、見事勝利した。 


 「おにぃ。今日の試合って、いつくらいに終わるの?」

 

 「えーとな」

 

 春に尋ねられ、忠光からもらっていた大会スケジュールを確認する。

 

 「後、二試合あって。二試合とも勝利したら。・・・明日決勝をやるんだって」


 決勝は明日やるのか。全然気づいてなかった。

 その事を伝えると、春は不安そうに言う。


 「じゃあ、明日もまた、電車に乗ってくるの?」

 

 「うーん」


 正直、忠光のプレイを見ていたら、後の試合も勝ち抜いていきそうである。

 家からここまで、二時間弱。帰って、また明日来るのはバカバカしいか。

 そう考えた俺は。

 

 「どこか、泊まれそうなところ探しておくか」

 

 「え?!」

 

 「金銭面的に二部屋借りるお金がないから、一部屋になってしまうけど。問題ないか?」

 

 「・・・分かった」

*  *二試合目*  *

 「忠光さん!頑張れー!」

 

 一試合目とは違い。会場の空気になれたのか、大きな声を出して応援する春。

 その春の声援を聞いてか、忠光のプレイは素人目の俺からしても、やばいのが分かった。

 結果、四対三で見事に二試合目を勝利へと導いた。

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