広い世界の片隅で、明日もきみは生きてゆく。

水月つゆ

プロローグ


 


 『──消えたい』


 毎日のように、そんなことを思っていた私。


 放課後、掃除当番で校舎裏のゴミ捨て場に行ったあと、無性に苦しくなって空を見上げると屋上が見えた。


 あの場所へ行けば、何が見えるのだろうか。

 あの場所へ行けば、何かが変わるだろうか。


 そんな小さな期待を胸に階段を駆け上がる。


 けれど、屋上から見えた景色はそびえ立つ建物や木々、河川敷。そんなありきたりな景色だけだった──。

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