私は目覚めても夢を見る

パソコン

第1話

私は目が覚めるとベッドの上にいた。

隣にはいつもの彼がいた。

「よう、起きたか?」

「おはよう......」

そういつも通りだ。私の目の前には彼の笑顔があった。

だが、違和感がある。何かが足りないのだ。彼はいつものように私に朝食を作るのだろうが、彼はいつもの席に座らず、キッチンの反対側でフライパンを使ってるのだ。「あれ? 今日は朝ごはんを作らないの?」

「あ? ああ」

私はいつもと違う彼に少し驚いている。いや、いつもとはちょっと違うのか? 彼は料理を作ってくれている。いつも作ってくれるのは彼なのに、今日は違うらしい。「......変なの。いつもなら朝食を作っているのにさ......」

「今日はちょっと寝坊したんだよ」

彼はそう言うと私の前に皿を出す。その上にはいつも私が食べる目玉焼きトーストだった。だが、いつものバターの匂いがしないのだ。

「え? もしかしてジャムとか使わない派なの?」

「何言ってんだ、俺は毎朝こうやって飯を食べてるぞ?」

そう言って彼は自分の分の皿を出して座る。その様子に私は疑問を抱くしかないのだが、とりあえず椅子に座りテレビを見る事にした。

【今日の占い】『あなた達は死ぬでしょう!』

「......何それー?」

いきなりとんでもない事になったものだなぁと思いつつも、この番組が終わるまでにジャムを見つけられるのだろうかと少し呆れながら私は見ることにした。

『まず身近な人から見ていきましょう。1番近い人は、あなたのすぐ横にいますね。ラッキーアイテムはその人にプレゼントしてください。2番目に近くにいる人はあなたの恋人です。ラッキーアイテムはその人にあげましょう。3番目の方は好きな人ですね、その人と一緒にいれば幸せになれるかも? 4番目の人は......』

「はぁ!? この中で2番目に近い人が私な訳ないし!! きっと何かの間違いだよ!」

2番の人がラッキーアイテムであるはずがないし、3番目だって同じことだ。だから4番目は彼氏じゃない。絶対にありえないだろう。そう思いつつパンを食べ終えようとした時にテレビの映像が変わった。

『ラッキーアイテムは鏡でした。鏡を持って10秒後に、もう一度ラッキーアイテムを持っている人の名前を言うようにすれば幸せな家庭ができます。では続きまして、今日死ぬ人のラッキーアイテムは?』

「はいはーい、俺俺。俺が死にました」

「うわ!?」

突然のカミングアウトにびっくりして口に運んでいた卵が飛んでいってしまった。そして慌てて口の中に入れたパンを咀嚼する。

「んぐ......ごくん」

「んで俺が死んじゃったのはね~、俺が休みの日で家に居たからなんですよ~」

「へーそうなんだって、あんた今なんて言った?」

「だから、休日の俺に休みはないんですよ」

「そっちじゃねぇよ! その後だ!!」

「俺の家に来てた女の子が包丁持って俺に刺してきて~死んでしまいましたとさ」「............」

なんだこれ? 私は混乱している頭を抱えながら考える。どうやら、このニュースは本物らしいということと、彼が死(・)ん(・)じ(・)ゃ(・)っ(・)て(・)る(・)人(・)物(・)は正真正銘本物の彼であるということが分かってしまった。でもそれはおかしい。なぜなら私の朝食は毎日コーンフレークだし、そのコーンフレークを食べた後の朝ごはんは必ずトーストなのだ。それなのにどうして?

コーンフレークは小麦粉やバターを使っていて牛乳を入れることが多いからそれを飲んでいてもおかしくは無いのだ。なのになんでコーンフレーク以外の朝食を食べているのだこの男は......。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私は目覚めても夢を見る パソコン @meganepapadoragondesu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る