(四)-2

 それは、タクシー会社の社員で、一般のタクシーではなく、企業向けハイヤーの運転手をしていた、そしてうちの会社のハイヤーを運転していた、というものであった。

 まさか、いつも俺が乗る車を運転していた、あの運転手の黒川のことなのか?

 確かに父が亡くなる数日前から彼の姿は見ていない。しかし、だからといって彼が犯人とは限らないだろう。

 その上で、刑事の口からはさらに驚くべきことが語られた。

 黒川誠というのは偽名で、本名は東場一貴というのだそうだ。本人は現在、会社にも顔を出さずに逃走中で、完全に行方不明になっているという。


(続く)

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