(三)-3

 そして俺はリビングの入口に立ち、部屋の灯りを付けた。

 部屋には誰もいなかった。いや、いないように見えた。父はここにもいない……。

 俺は部屋を出ようとしたときに目の端に父を捕らえた。そちらを見た。父がいた。しかしそれはソファに腰掛けた姿でも立って歩いている姿でもなかった。ソファの後ろの通路部分の床の上にうつぶせで倒れていたのだった。

 俺は慌てて父の元に駆け寄り、体を仰向けに戻して抱きかかえた。何かの病気なのだろうか?



(続く)

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