第二章 能力開発・第三王子編
1
空間属性の能力を把握しよう。
記念パーティーが終わった翌週から、俺の魔法の訓練が始まった。無論、教養としての座学やマナーについての勉強は、すでに始まっている。アースの記憶によると、属性判定を受けるまでは、教養やマナーの勉強ばかりで退屈だったようだ。
魔法の家庭教師として雇われたのは、母上の友人のヘンゲーナ・アクター先生だ。いわゆるママ友であり、魔導士団のエースらしい。
先生は、きれいなお姉さんで豊満なボディをしている。正直好みのタイプだ。本当に、子供がいる母なのだろうか? 俺は結婚したくはなかったが、性欲は普通くらいにはあったと思う。精神年齢29歳の俺には、ある意味修行であった。
「では今日から、魔法の訓練を始めましょう。まずは、魔力を感じることからね。おへその下に、魔力の源が存在します。そこから、魔力が全身に流れるように意識してみて。」
目のやり場に困るからさっさと集中しよう。えーと、おへその下っていわゆる丹田だよな。
うーんと、魔力を血と置き換えて、血管に乗って流れるイメージがいいかな。あとは、そうだな。俺は、少年ジャ○プ作品も好きで、特にN○RUTOが好きだった。
N○RUTOには、チャクラという概念がって、これも参考になるかな。よし、何か温かいものが全身を回っている気がする。
「……。アース君すごいわ。初めてで魔力の循環ができる人なんてそういないわ。流石、空間属性に選ばれることだけはあるわね。」
「ありがとうございます。先生のアドバイスが、参考になりました。」
この世界は、地球ほど医療が進歩していない。回復魔法というチートがあるからな。だから、血管がどうだとか、そういう知識はないのだろう。俺はその点、魔力を血と置き換えて、血管を流れるイメージがしやすかったし、厨二病を患っているときに、チャクラを練ろうとしたこともある。
現代医療とN○RUTO、ありがとうだってばよ。
「次は、さっそく魔法を使ってみましょうか。まずは、基本属性の水属性の水弾を使ってみましょう。魔力を手に集中して、魔力を水に変えるイメージでやってみて。」
いよいよ、魔法が使えるぞ! 待ってました!
魔力を水に変えるイメージか……、性質変化だな。
『水弾』
俺がそう詠唱すると、大きな水球が発現した。
「すごいわ、これも一発でクリアしたわ! しかも、この大きさ、魔力量もかなり多そうね。」
いやー、これもN○RUTOのおかげです……。そのうち魔力の形態変化もやってみたいな……。
「この分だと、呪文の詠唱や少しのコツを教えるだけで、氷や光魔法も使えるようになりそうね。ただ、空間属性に関しては、誰にもノウハウがないから、どうしましょう。」
そういうと、ヘンゲーナ先生は悩んでしまった。
それはそうだろう。いくら優秀な魔導士でも、見たこともない魔法を指導するなんて難しいだろう。
その点俺には、前世から得た空間魔法のイメージがある。これを活用していきたい。
「先生、空間属性に関しては、俺にイメージがあるのでそれをやってみたいと思います。先生には、危険管理や俺の能力の分析をお願いしたいです。」
そういうと、先生は快く了承してくれた。
「アース君は、どういうイメージを持っているの?」
「俺が持っているイメージは、今のところ二つです。一つは、一瞬で移動ができる転移、二つ目は、物を別の空間に収納して持ち運ぶことができる、アイテムボックスのような能力です。」
俺がそういうと、先生は少し考えたあとに、うなずいた。
「うん、私も同じようなことを考えていたわ。まずは、危険が少なそうなアイテムボックスから試してみましょう。この、石を収納してみて。」
俺は先生から、そこらへんに転がっていた石を受け取った。
やはり、この空間とは違う別の空間、それも俺だけが干渉できる空間があると思うんだよな……。その空間に、転移させるという感覚でいいのかな? 詠唱は……『収納』と『取出』、これが妥当かな。魔力を空間属性に性質変化させるイメージで、石に手を当てて、
『収納』
俺がそう詠唱すると、石がどこかに消えた。
お、やはり消えたな。あとはこれを、取り出せるかだが……。
『取出』
すると、石が手のひらに現れた。
おーーーー、できたぞ!!!
「すごいわ、アース君!さすがだわ! じゃあ後は、細かい条件とかを調べていきましょう!」
ーー
数時間後、俺のアイテムボックスの能力が大体わかった。
●アイテムボックス
・収納するには、実際に触れなければならない
・容量はほぼ無限
・生物は収納できない(※生命活動が停止していれば可能)
・目をつむれば、収納した物の一覧を確認できる
・取り出す際は、ある程度具体的引き出したいものを思い浮かべなければならない
・取り出す量は関係ないが、一種類ずつしか取り出せない
「大体の能力がわかったわね。」
「はい、ありがとうございました。次に、転移をやってみてもいいですか?」
俺がそういうと、先生は笑顔でうなずいてくれた。
転移、これはやはりすごい能力であろうな。ただ懸念点を上げるとするならば、移動先の状態が確認できない点や、移動先の障害物にめり込む恐れがある点が挙げられる。移動先に、敵が待ち構えていました、なんてことになったら大変だ。
だから、移動先の状態が確認できるといい。転移というよりは、むしろ、どこでもド〇が理想だな。あれだと、移動先の状態を確認することができる。空間と空間をドアでつなげるイメージだな。あとは、ドアの大きさを自由に変えられるようにして……。大きいドアを『大窓』、小さいドアを『小窓』と名付けよう。
じゃあやってみるか、まずは自分の部屋に空間をつなげてみよう。
『大窓』
おー! 目の前に穴が開いたぞ!
よし、成功だな!
穴の先は紛れもなく、俺の部屋だ。
「これは……。もう言葉もないわ。成功ね。あとは、無制限に窓を出せるかね。試しに、私の家までの窓を出してみて。」
ーー
結論から言うと、出せなかった。調べた結果、俺が一度行った場所でないと窓は出せないらしい。まぁ、これもあるあるだな。
これで空間属性の能力把握は一応終わりか、他は探り探りだな。よし、他の属性も訓練していきますか。
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