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「父上。私自身がどなたかの側近となり、後ろ盾を得ることは可能でしょうか。」


父上の回答しだいで、俺の取るべき行動が変わるな……。



「うむ、それは可能だ。むしろ、跡取り以外の者が、側近となれば将来安泰であろう。しかし、公爵家のお前が側近となるには、公爵家よりは上の身分の……王族の側近になるしかないであろう」と、父上は難しい顔で言った。




 

はぁー、やはりか。王族とは、関わりたくないと思っていたのに。王族というと、どろどろしていて、自分勝手で、偉そうなイメージだから、嫌だな。しかも、それが上司になるって……。


この世界にはパワハラとか、そういう概念あるかな?








「わかりました、父上。ただ、仕える主はしっかりと見極めてから決めたいと考えます。」







「確かにそうだな。今のところ有力なのは、年齢から考えて、第三王子のジルベルト殿下の側近だな。他の二人の王子殿下も、それほど年が離れていないから、考えてみるといい。」



確かに第三王子は、同い年だから、いい関係を築きやすいかもな……。と、俺がそんなことを考えていると、母上たちが話に入ってきた。




「アースの能力なら、向こうから側近の打診があるかもしれないですね。」

「まぁ、確かに。マクウェルの言う通りかもしれませんね。」




王族からの打診って……。それって実質決定事項なのでは?






俺は、第三王子の人柄を聞いてみた。父上の話によると、第三王子は、人当たりがよくて、周りの意見に流されない感じの方のようだ。俺が想像していた王族とはかけ離れているようだな。





今日のパーティーでの様子も、参考にしてみることにしようか。




そうだ! 第一王子や第二王子について、同年代の兄上たちならば、他の王子たちのことを何か知っているのではないだろうか。





俺は兄上たちに、他の王子たちの人柄について尋ねてみた。




「ベルハット第一王子は非常にやさしい方で、聡明な方だよ」と、マクウェル兄上が教えてくれた。



なるほど。 ベルハット殿下はマクウェル兄上の一個うえで、十歳か。人柄もよさそうだ。






「サーカス第二王子は、まぁ……少しわがままなとこがあるが、素直なお方だ」と、マクウェル兄上に続いて、ケルサス兄上が教えてくれた。

 


 

サーカス殿下は、ケルサス兄上と同じ七歳だな。それよりも、ケルサス兄上少し言い淀んだよな? なんだ、訳アリか?


 



王子たちの人柄を聞いた後、俺は、マクウェル兄上とケルサス兄上に、お礼を伝えた。








「まぁ、こんな時間だわ。アース、記念パーティーの準備をいたしましょう。」





さて、記念パーティーか……。同年代の人と会うのは初めてだな。楽しみだ。









ーー









どうやら、記念パーティーは王宮で行われるらしい。父上は、俺の空間属性の件について、国へと報告するため、先に出発したようだ。そこで、会場へは母上と二人で行くこととなった。


 




それにしても、空間属性のことはどれくらい広まるのだろうか。王族はしょうがないとしても、教会から漏れたり、あとは、国のお偉いさんから漏れたりと……。まぁ、ウジウジしていてもしょうがないか。せっかくの異世界転生だ、楽しもう!




















ーー




















「ようこそ、サンドール公爵夫人、アース様。サンドール公爵様がお持ちです。」



俺と母上は、係員の案内に従って、王宮へと入る。




王宮って、実際に見ると圧巻だな。大きさや、豪華さ、人の多さ、どれをとっても現実味がないな。




すると、前方に父上の姿があった。




「やぁ。無事に着いたようだね。それでは控室に行こうか。」



と、父上は控室で待たずに、出迎えてくれたようだ。俺を王宮内で守るためかな?優しい父親だな。





さて、国への報告の結果はどうなったかな。


 


 

俺たちは控室が用意されている廊下に案内された。


おー、控室の数半端ないな。部屋の中も広いし、貴族の六歳の子供がどれだけいるかわからないが、保護者を含めた、それだけの人数をもてなせる王族、恐るべし。








俺たちが控室に入ると、父上が早速報告をしてくれた。


「さて、国へと報告を行った結果……。陛下を含め、全員が驚き、そして喜んでいたぞ。非常に、めでたいと。そんな中、教会で保護するか、国で保護するかという議論にもつれ込んだが、アースの自由にさせろと言って黙らせておいたぞ。」


 



「まぁ、流石ですわフーラル様。」

「ありがとうございます、父上!」


 



父上、まさか王族も黙らせたとか言わないよね。不敬罪だよ? しかし、これは非常にありがたい。ただ、このもっと褒めてほしそうな顔で、こちらをチラチラ見てくる男は、これでも公爵なのだ。それくらい強い発言権があるのであろう。


うーん、でも、王族が引いたのか。もっと、ゴリ押ししてくるかと思ったけど……。そんなことを考え、不思議そうな顔をしている俺を見て、母上が、





「フーラル様は、陛下の側近で昔からの友人なのですよ。」




と、説明してくれた。なるほど、そういうことか。





「うむ。会議のあとで、頼み込んだぞ。」




なるほど、そういうことか。



「そういうことでしたか。ありがとうございます、父上、母上。」





父上は、満足そうだ。





「しかし、王宮内でお前が空間属性を持っていることが、かなり広まっていたな。誰が漏らしたのか……。見つけて半殺し……う、うん、何でもない。」




 ん? 今、半殺しって聞こえたよ?





「とにかく、気をつけなさい、アース。お前に取り入ろうとしてくる奴がこれから現れるであろう。何かあったら、些細なことでもいいから、報告しなさい。」



「私たちは、あなたのことが心配なのよ。」



発言は危ないが、本当にいい両親だな……。父上たちのおかげで、現状がなんとなく把握できた。



確かに、どの勢力が俺を囲うかは、公式な場では決まっていない。だからこそ、様々な手段で取り入ろうとしてくるであろう。気を付けなければ。




コンコン、



係員から声がかかった。



どうやら、いいよ記念パーティーの開始時間らしい。




「では、行こうか。」




父上の呼びかけで、俺たちは会場へと向かった。



ともあれ、記念パーティーは楽しみだ。


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