異世界行ったら龍姫が俺の嫁!?
じぐざぐ
第壱部 俺と龍姫
第1話 俺と龍姫の出会い
俺、佐藤龍一はどこにでもいる、26歳の普通の底辺サラリーマンだ。
その日も意地の悪い、パワハラクソ上司に帰り間際に
「明日の朝一番に使うからな」
と、とてもいい笑顔で資料作成を押し付けられ、終電ギリギリに、疲れ果てて帰ってきたところだ。
築40年のオンボロアパートのドアを開けた瞬間、ものすごい光に包まれ気を失ってしまった。
しばらくして気が付いたら、俺は見たこともない場所に帰宅したときのままの、よれよれのスーツのまま倒れていた。
周りが少しざわついていた。
ちょっと落ち着きを取り戻して周りを見渡してみるとレンガ作りの大きな薄暗い、倉庫の様な場所の中心にいることがわかった。
俺を中心に数十名の黒マントやら、白マントを羽織った人間がいる。
なかには倒れている者もいて、それらを介抱してる者もいて……と状況を確認していく。
蝋燭の燭台があったり、地面にはなにやら怪しげな模様が描いてあったり・・・
「いやぁぁぁ~~~!]
「無理をしすぎたんだ!」
「早く運べ!」
「#(%)'%=&$#"~~~~」
「……まさか。。本当に成功するとは……」
「お願い!!目を覚まして!」
「触るな!!耳から出血している!」
「%'&'#)"$$%#"#!!!!」
時々聞きなれない言葉も混じるが、会話から察するになにか儀式でもしてたのか? 新興宗教? 黒魔術的な?
とにかく、今何が起こっていて、なぜ俺がここにいるのか確認せねばならんが、俺はなんとなく場違いな存在のような気がしてきて、そこの連中に声をかけるのをためらっていた。
(黒魔術だとしたら俺は生贄とかそんな感じじゃないだろうな……)
ふとそんな嫌な想像になる。
とりあえずはザ・静観だ。
そしてもしもの時はいつでも逃げれるよう、逃走経路の確認だけはしとかなくては、と今いる場所の全体の把握をしておく。
そんなころをしていると、周りの騒がしい集団の中から白いマントを羽織った集団が
「おい! 気が付いたみたいだぞ」
と、こちらに近づいてきた。
その中心にいた、一人の高貴そうな雰囲気の少女が俺の前でひざまづいた。
「お騒がせして申し訳ございません。只今あの者どもを下がらせます」
「はぁ」
我ながらなんとも気の抜けた返事をしてしまった。
だってかなりの美少女だったからだ。
金髪碧眼の巨乳美少女とかアニメにしかいないんじゃないのか?
ぼ~っと見とれてる俺にその美少女が
「私はこの龍帝国、第一皇女 龍之宮レイラ、と申します」
「龍帝国? なにそれ? やっぱ新興宗教? もしくは厨二的ななにか?」
反射的に思わず口にでてしまった。
「貴様! 姫様に対し、なんたる口の利き方!!!」
そばにいた白マントがいきなり腰の刀を抜き、俺に向けた。
「ひっ」
腰が抜けそうになった。俺は荒事が得意ではない。
「お下がりなさい!」
「しかし姫さま!」
「この方は混乱されているのです。多少のことは目をつむりなさい」
「はっ失礼いたしました」
なんなんこの寸劇。
付き合ってられん。
とりあえず連中の機嫌を損ねないように……
へりくだって……両手を挙げ
「あの~~すみません。そろそろ帰っていいでしょうか? 俺、晩飯もまだだし、資料作成もしなくちゃだし、あした会社早いんで……」
すると目の前の姫様がガシっと俺の両手を握り、
「まぁ! まぁまぁまぁお腹が空いてらっしゃるのですね! それではお食事を用意させましょう! 兼光! 至急厨房に準備させなさい!」
「はっ!」
俺に刀をむけた、兼光と呼ばれた若者が脱兎の如く走り出した。
「それでは、こちらへどうぞ」
姫様に手を差し出され俺は立ち上がった。
どうやら食事を提供してくれるらしい。
「はぁ……」
倉庫? の端にあった階段を上る。
どうやらここは地下室だったらしい。
かなり上らされた。5階くらいの高さじゃないかと思うくらいでやっと地上に出た。
めっちゃ明るかった。
「はぁ? もう朝かよ! か、課長にどやされるぅぅぅぅぅ!」
俺はその場でうずくまってしまった。
ヤバイヤバイヤバイ!! どうするどうする、クソパワハラ課長に頼まれた資料作成、何もしてねぇ!
す、スマホスマホと体中をまさぐってる、そんな俺の絶望を気にするでもなく姫様が話しかけてくる。
「そういえばまだお名前をお伺いしてませんでした。なんとお呼びすればよろしいでしょうか?」
「えっ! あ? さ、佐藤です! 佐藤龍一です! 好きに呼んでください! アレ!? スマホ!」
「それでは佐藤様、ここは佐藤様の住んでらっしゃった世界ではございません。」
「あ、あった、、ひぃ~~~! バッテリー切れ! まじかよぉ~~~……」
「え? 今なんて?」
ニコニコと皇女殿下様がおっしゃるが、無礼だとは思うが何言ってんだコイツ?
姫様はその微笑みのまま、廊下から見える外の景色に手をやった。
「佐藤様のお住まいの世界には、あの様な者はいらっしゃいましたか?」
促されるまま目をやると外には……美しく整えられた豪華としか言いようのない宮庭が見える。
その遥か向こうには延々と続く石積みの壁が見える。姫様なのだから住んでるのはお城的なとこだろうか?
などぼんやり考えていると……その石壁のはるか上に、なにかが飛んでる。
バッサ、バッサと……巨大な……RPGやら映画やらにでてきそうな……竜……
「ど、ドラゴン!!??」
何十メートルかは知らんが、とにかくでかい、オレンジ色のドラゴン的なものが上空を飛び、さらにその巨体の脇を小型の青いドラゴン的なのが、すごい速さで追い抜いていく。
目を凝らしてみると、人が背中に乗っているようでもある。
思わず、回廊から外に飛び出すと……
言われた時は遠くで飛んでいたヤツしか気づかなかったが、落ち着いて空を見上げてよく見るとあちこちで大きさも色も形も様々なドラゴンが飛んでいた。
「今日は第三飛竜大隊が警護に当たってますな」
「珍しい。山脈の向こうに超重爆大隊の大型が飛んでますね」
「あれもたまには飛ばさないとすぐに肥満になるから。」
姫様のお付きであろう、後ろの白マント達がのんきに雑談している。
「本当に違う世界、なのか……」
今度こそ腰が抜けた。
「あの緑の竜は輸送を担当する竜ですね。大型ですが、草食でおとなしいんですよ。あちらの赤いのは郵便屋さんですね」
ストンと座り込んでしまった俺に、ニコニコと一匹、一匹指差しで飛んでるドラゴンを説明する姫様。
「いやいやいやいや、これ、どうなるんです!? 俺、元の世界に帰れるんですか!?」
姫様は少し困った顔をし、
「昔から研究はされていたようですが、残念ながら未だかつて元の世界にお戻りになられたという方はお一人もいらっしゃらない、と伺っております」
絶望的ということか……
と、思った瞬間腹の虫がなった。
「そういえば空腹でいらっしゃったのでしたね。さ、まいりましょう」
すっかり、気力をそがれた俺は、笑顔の姫様に促されるままにトボトボと後をついていった。
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