第4話 ラストコンサート

とうとう。

その日がやって来た……。


俺の顔は、痩せこけて今にも倒れそうだった。


だがラストコンサートの為に……

楽団員のみんなが力を合わせてくれた。




開演の直前に、俺は血を吐く。




だがラストだ。あと少し。と、

俺は起き上がった。



ヨロヨロとピアノの前まで歩いて




開演時刻になった。




割れんばかりの拍手に、あの世の世界を垣間見た。



指揮者が手を振りかざし

演奏が始まる……。



人間とは不思議な生き物だ。




湧き上がるパワーで、序盤も間違いながらも弾けた。



中盤頃には、痛みに耐えながらも

弾いていた。



俺は鬼の形相をしていたそうだ。





曲がラストに近づく!


楽譜をめくりながらも演奏を

続ける。




苦痛に、顔が歪む。


他の楽団員も、俺を心配しながらも演奏を続けていた。




演奏が佳境に来た頃……俺は、




最後の1ページをめくろうとするが……






痛みの余り、意識が遠のいた。












『俺に、何かあっても

演奏は最後まで、続けてくれな?』



皆は、俺を気にする。

客席もザワつく……。一体何が起きたんだと



叫ぶ観客も居た……。








最後まで演奏を終えた仲間達は……



皆、涙を流していた……。








俺は……長い間、幸せだった。





そう、と居られたから…………。





何処からか、賛美歌が聞こえる。








天使達に迎え入れられながら

俺は……




天国へと旅立った。







END

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めくれなかった1ページ~楽譜から愛を込めて~ たから聖 @08061012

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