第3話 約束と新たな出会い

第3話


私は決心して、全てを話した。


イジメられている事、楽になろうとしていた事。


それらを全部話し終えると、ひーくんは泣いていて………


「ごめん、僕は全然気が付かなった………」

「ひーくんは悪くないよ!隠してた私が悪いのに………」


それに連れられて、私までも我慢していた涙を溢し始める。


二人で散々泣き腫らした後、ひーくんは私の肩を掴んで………


「僕が陽葵ちゃんを守るよ………」

「えっ………」

「強くなって、何があっても陽葵ちゃんを守り抜く。もう二度と、こんな目には合わせない様に強くなるから!」


嬉しかった………


私がずっと守ってきたひーくんがいつの間にかこんなに強くなってる事に、ほんの少しだけ……


────ほんの少しだけ、寂しくなった。


☆☆☆


それからの私はお母さん達に全部話した。


そしたらお母さん達は激怒し、学校へと乗り込んで大暴れしたらしい。


一緒に着いて行ったひーくん曰く………


「地獄の閻魔様より怖いんじゃないかな?」と震えながら答えていた。


そのお陰か、イジメは無くなった。


友達も居なくなったけど、そんなの私の隣にはひーくんが居るから要らないだろう。


それからと言う物の………


「俺と遊ぼうぜ、陽葵!」

「うん、ひーくん♪」


ひーくんは変わり続けた。


いつの間にか一人称は俺になり、私を呼び捨てにし始めた。


そして、私をグイグイ引っ張る様になり、私はその3歩後を着いていく様になった。


まるで、夫婦の様で楽しかったし、嬉しかった。


「おい、陽葵。」

「何、ひーくん?」

「あれから、誰かにイジメられてたりしてるか?」

「大丈夫だよ、ひーくん。それに………」

「それに?」

「────何か起きても、ひーくんが守ってくれんでしょ?」

「────当たり前だ!」

「あれ、照れてる?」

「照れてない!」

「ふふ、そういう事にしててあげるね♪」


こんな感じで、私達は二人の世界を作り出していた。


でも、ある日………


「わ、私は音崎おとざき こよみです!さっき、一崎くんに助けられて………」


遠足の日、ひーくんが女の子を助けてきたらしい。


で、それが切欠でその子と関わる様になり、私の前に連れてきた。


それが彼女、暦ちゃんとのファーストコンタクト。


最初の印象?


勿論………


────最悪だった。


「へぇ、暦ちゃんって言うんだ!一緒に遊ぼうよ!」


こんな事を言ったけど、心の中は激しい怒りでいっぱいだった。


一目見れば解った………


彼女がひーくんに恋心を抱く乙女泥棒猫なのだと。


「あ、ありがとう………えっと………」

「二崎 陽葵。陽葵って呼んで!」

「う、うん。ひ、陽葵ちゃん………」


ひーくんの前だからこう言ったけど、内心はかなり嫌だった。


遊ぶのも嫌々だったけど、彼女は私の様に友達が居ないらしく、私と違ってひーくんみたいな存在が居なかった。


だから、渋々ひーくんのついでに遊んでいたのだ。


のだけど………


「ねぇ、陽葵ちゃん!コレ似合うかな?」

「か、可愛いじゃん!似合うじゃん!そうだ、私ははどうかな、暦ちゃん!」

「に、似合い過ぎだよ!正直、陽葵ちゃんが羨ましいよ!」


いつの間にか、私達は親友になっていた。


勿論、ひーくん関連について思う所はまだまだ在るし、激しい怒りの炎は消えていない。


でも、いつか決着を着けなきゃいけない日が来るまでは………


こんな楽しい日々を全力で楽しもう!


「俺、帰っていい?」

「「ダメ!!」」


続く

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