『NTRビデオレター』外伝① 二崎 陽葵はもう逃げない

クロスディアⅡ

第1章 弱さ故に捨てた物と手に入れた物

第1話 プロローグ≒プロローグ≒プロローグ 

第1話


私の名前は二崎ふたざき 陽葵ひまり


私には大切な幼馴染が居る。


一崎いちさき 人識ひとしきというカッコいい幼馴染だ。


ずっと、私を守ってくれた。


ずっと、私を愛してくれた。


私の癒やしの止まり木、私の愛しの騎士ナイト様。


そして、何より………


「これからもずっと一緒に居ようね♪」

「勿論さ、陽葵。」


約束した。


永遠の誓いを結んだのだ。


でも、その約束は………


「なっ、陽葵危ない!」


────守る事が出来なかった。


☆☆☆


私の名前は二崎 陽葵。


私には運命の出会いをした人が居る。


気持ち悪い化け物、一□ 人□とかいう奴に絡まれてる時に助けてくれた転校生君。


あの日々は地獄だった。


誰もが私の知らない事を、知らない人の事を言ってくる。


私の大事な親友、音崎おとざき こよみちゃんもそうだった。


────訳が解らなかった。


まるで、私の周囲の人達に変な記憶が挟み込まれているかの様だった。


そんな私を助けてくれたのは、またしても転校生君だった。


そんな彼に惹かれるのは当然の事だった。


そして、彼が私を助けてくれた場所で………


「僕と付き合ってください!」

「はい、こちらこそ♪」


心の底から、嬉しかった。


本当に嬉しいのに、何処か悲鳴をあげている自分が居る様に感じでならない。


訳が解らないけど、今はこの幸せに浸っておこう。


「ねぇ、キスしても………良い?」

「うん、行くよ。」


そんな自分を誤魔化す為に、唇をそっと重ねた。


初めてのキスは、何故かしょっぱい涙の味がした。


☆☆☆


私の名前は高崎 陽葵。


私を助けてくれた転校生君、高崎 優輝ゆうきさんと結婚し、双子を授かった幸せ者だ。


私が彼と付き合い初めてからは、沢山の人が離れていった。


親友の暦ちゃんも、私の両親さえも。


でも、優輝さんが居てくれたから、私は今日まで生きてこれた。


それなのに………


「はぁ………」


何故か、虚無感を………違和感を感じている自分が居た。


何か欠けている気が、何かが決定的に間違っている様な………


────全てにおいて歪だと訴えている様に感じていた。


「ううん、そんな訳ない。」

「大丈夫、ママ?」

「大丈夫だよ、パパさん。」


そんな自分を振り切る様に、今の幸せな時間を噛みしめる。


隣には彼が居るのだ。


そんなの当然………


「危ない!!」

「きゃっ!?」


突然、突っ込んできた車から優輝くんに庇われる。


その瞬間、見覚えのない記憶が溢れ出す。


知らない、こんなの知らな────


『裏切り者!』


違う、私は………


『何でこんな偽りの幸せを楽しめるの?』


嘘、私は本当に………


『コイツは彼じゃないのに?』


あ、ああ………


「嘘、嘘だ………」


────此処で何かを叫び、私の意識と記憶は途切れたのだった。


続く

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