第2節 W-2 『―――――』
22 パーティー
パーティー。それは、
・社交のための集まり、友人や知人が集まって楽しむイベント。例えば、カクテルパーティーや祝賀パーティーなど。
・仲間や一行、特に登山や探検などで行動を共にするグループ。
・政党や党派: 政治的な集団や組織。のことを言う。
この中だと仲間と言われる物だろう。仲間、仲間かぁ。
パーティーについては考えることすらなかったのに。どんな何があったのかは知らないが急だな。
「スヴァさん、なぜ急にこんな話を?」
「何故って、そりゃあ、イズホと
「……」
自分で訊いたことだが、唐突な一緒に遊びたい宣言に驚いて、言葉が詰まってしまう。
正直その言葉は、感情が薄いと自分では思っている俺でも、確かに嬉しいと感じた。
だが、今の俺の状況で同行者を増やしてもいいものなのか。旅において人手などが増えるのはいい事だと思うが、それを必要としているかは俺にはわからない。
「スヴァさん、今から言うことは内緒でお願いしたいんですけど、いいですか?」
「ん? まぁ、ええで」
「じゃあ俺が今受けているクエストについて簡単に説明します」
そう言って本当に簡単にアセヴィルの事等、重要そうなことについてはぼかしつつ、説明をする。
とある人物の旅の手伝いとして、約49日後に東の方へ出ること。そのとある人物の目的はとある存在を倒すこと。その2つを主軸として話す。
「なるほどなぁ。解った、じゃあその人物のところまで俺を案内してくれ」
「え?」
「イズホがその人物に説明せずとも俺が直接説明した方が速いやろ」
「まぁ確かにそうなのかもしれないけど」
その提案を受け、押し切られた俺は、そのままアセヴィルのいる魔王国大使館に向かうこととなった。
△▼△▼△
俺とスヴァさんは現在、大使館の応接室のような部屋で椅子に座って待機していた。
「それにしても貴族のお偉方が依頼人なんてなぁ。いや王族やったか?」
「最初にログインした瞬間に出会って、その時にクエストが発生したんだよ。まぁ、たまたまだよ」
そのように話していると、応接室の扉が開きアセヴィルが入ってきた。
「座ったままでいいよ」
スヴァさんが立ち上がり、挨拶をしようとしたがアセヴィルに止められ座りなおす。
「それで本日は何用でこちらに?」
「では、単刀直入に言います。あなたの旅の一員にしてください」
先ほどまでのようなチャラさ?はどこに行ったのか、丁寧な言葉のスヴァさん。
アセヴィルはその言葉を受けて、予想通りだったのか表情を変えずにすぐ、それに対して答えを出した。それにしても言葉が少なかったように思えるが。
「許可しよう。それと今後はアセヴィルと呼び捨てにしてもらって結構」
アセヴィルがそう言った瞬間、仮想ウィンドウが開き、ワールドクエスト『世界の改変』のパーティーが結成されました。と書かれていた。どうやら無事にスヴァさんはアセヴィルのクエストを受注することが出来たようだ。
今日のところはこれで以上かな?
「じゃあ、俺は今日もう
そう言って応接室から出て、大使館での寝泊まりの部屋に行き、ログアウトした。
(14:15)
△▼△▼△
約6時間後(20:20)
本日3度目のログイン。ゲーム内時間は22時50分だ。
部屋から出て、なんとなくアセヴィルのいるであろう地下室へ向かう。
その道中は誰にも出会うことはなかった。
「失礼しまーす」
コンコン、とノックをしてその部屋に入る。果たして、その部屋の執務机の椅子にアセヴィルは座っていた。
「どうした?」
「いや、そういえばどのくらいの強さになればいいのかなって思って、訊きに来たんだよ」
「そうか。どれくらい強く、か。特に考えてはいなかったが、そうだな。ではこうしよう。
南東の森のさらに奥にある水人族の国『ヴィデュール』の周囲の森の主、ジャイアントベアを軽く捻れるぐらいの強さ、としよう。まぁ軽く捻ることが出来ずとも、簡単に倒すことができる強さが最低限だ」
「ジャイアントベア。つまり熊か。因みにその熊はどのくらいの強さなんだ?」
「ジャイアントベアはブラッドウォーカーより少し強いぐらいだが、お前にとって弱点となり得る要素が1つある。それは相手が聖力を行使できるという事だ。まぁお前も魔力を使えるから、相手にとってもそこは弱点だが」
熊。巨大な熊。
ブラッドウォーカーより少し強いだけという事だが、それは本当に少しなのか?
確か、20歳の頃のアセヴィルが苦戦した
まぁ、取り敢えず目安は判った。それがどれくらいの強さかは理解できていないが。
今日も今日とてレベル上げと行こうと思ったが、そういえばスヴァさんとパーティーになったんだった。
「目安は判った。じゃあこれ以上邪魔するのはあれだし、ここいらで失礼するよ」
その言葉に何らかの作業をしながら手を振っているのを見て、部屋を出る。
早速スヴァさんにメッセージを送り、返ってきた言葉に集合場所を返す。
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