久野玲香の悲劇

第1話 通り魔

私は都内の大学にかよっている女子大生、久野玲香です。

そんな私は今、世田谷区の大型商業施設で買い物として練り歩いてます。

たくさんの人ごみですね……クリスマスだからでしょうか?

すると、一人の男にぶつかってしまったのです。というかお腹痛い。

白いコートと紺色の冬用ワンピースというシンプルコーデで来たはいいけど、いきなり出来た赤いシミなんか目立つなと思っていたらそのシミは広がりつつあるのです。腹の辺りが痛い、恐る恐る赤いシミになっている所を触ってみたら赤い液体が手に付いたのです。

これは血なの?と漸く自分が誰かに刃物で刺されたことを理解したのです。

そして、私にぶつかった男は血のついたナイフを持ってそのまま逃げて行った。

はぁ?ちょっ待てよ!こっちはまだ死にたくないんだけど!? と痛みに耐えながら傷口を手で押えつつ血塗れになりながらも自分のスマホを取り出し、警察に連絡した。

数分後救急車が到着し、そのまま病院へ搬送された。

幸いにも急所から外れていたため命には別状はなかったが、出血量が多すぎたため入院を余儀なくされた。



「最悪だ……」



意識も薄れゆく中、私はただそう呟いた。目が覚めたら、そこは見知らぬ天井だった。

ここはどこなんだろうと思いつつも起き上がると看護師さんがやってきた。


「あっ目覚めたんですね。」


と優しい声音で話しかけてきたのだ。


「あの~ここって一体どこですか?」

と聞くと、

「ここは都内の病院だよ。君は誰かに刺されてここに運ばれたんよ。」


と答えた。

そうだ思い出してきたぞ……。


「あぁーー!!!!」


と大声で叫んだものだから看護師さんに怒られてしまった。

「すいません……」

と言いつつも内心は恐怖感や焦りがあった。


「ところで、君のご家族に連絡したいんだけど…電話帳ってない?あと住所教えてくれれば私が連絡するけど。」

と聞かれたので、


「お願いします。電話番号はこれです。あと住所は―――」


と答え、看護師さんに電話をかけてもらった。

少しして母が来た。母は泣いていて、父も一緒に来ていた。

父は医者に向かって何か言ってるようだが、私には聞こえなかった。

ただただ母の泣き顔を見つめていた。

その後医師の話を聞くことになった。どうやら私は腹部を刺されており、内臓まで届いていたらしい。幸いにも臓器の血管を傷つけることはなかったが、もう少し遅れていれば危なかったということを聞いたときは背筋が凍った。また、犯人は未だに捕まっておらず、今も逃走中であるとのことだ。

この一件により私の人生は大きく変わった。

退院し、家に帰ってきたのだが……私はもう引き籠ることにした。

何故なら外の世界は危険すぎるからだ。

テレビをつければ連日報道される事件の数々、Twitterでも連日その通り魔事件の事が取り上げられているからだと私は思う。


(出来れば思い込みであって欲しいけど)

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