第三章 CクラスとBクラスの学級裁判
第8話 学級裁判開廷!!
ペーパーテストが無事に終わった次の日。
俺にとって驚きの提案が出され、そのまま流れで俺の部屋に集まることになった。その提案というのが、ペーパーテストの第二回お疲れ様会だ。
「ふぅ〜〜〜〜」
一號が豪快にジュースを飲む。
片手にお菓子をわしずかみ、口に頬張る。
「うめぇ〜〜」
「蓮也、一様赤木の寮部屋なんだから、」
「おいおい、司!!今日は第二回お疲れ様会だぞ!!遠慮なんて、相手に悪いぞ!!」
「だからぁ〜〜」
第二回お疲れ様会には、一號に司、
まぁ、哀れみだろうな。
それでも…この会を提案してくれた学に感謝を!!
やっぱり、高校生といえば、夜まで友達と話すこの時間もまた醍醐味。
しっかりと堪能しよう、うん。
「急にごめんね。奏馬くん」
「全然いいよ。むしろ大歓迎さ」
「そうか。今日はお礼が言いたくてね」
「お礼?」
俺、何かやっただろうか?
学とは特に関わりもなかったはずだし、お礼なんて言われるほどのことはしてないはずだけどな。
「実は、勉強会をやろうと提案した時、北条さんを誘うか迷っていたんだ。ほら、彼女、すごく頭がいいでしょ?勉強では、やっぱり、教える人が必要だし、奏馬くんがいなかったら、きっと来てくれなかった。改めて、ありがとう」
学が頭を下げて、お礼を言う。
なるほど、そう言うことか。確かに、本来の北条さんであれば、勉強会なんて参加しないだろう。あくまで、今回の勉強会に参観したのは俺が、促したから。
結果から言えば、北条さんが勉強会に居たのはデカかったと思う。けど、俺から言わせれば、居ようがいまいが結果は変わらなかった。だから、お礼を言うのは間違っている。
でも、その素直な心は受け取っておくよ、学。
「そんな、頭を下げないでよ。クラスメイトなんだし、助け合うのは当たり前だろう?それにそのお礼の言葉を言うなら、北条さんにしてよ。一番大変だっただろうから」
「確かに、そうだね。次の日にでもお礼を言っておくよ」
「ああ、そうしてくれ」
学は賢い性格をしている。さらにその
女子が持つ情報収集能力は恐ろしいもの、だから女子にモテる学はその情報が一気に入ってくる。
モテる男は罪なものだな。
「おいおい、お前ら!!ぱ〜〜〜っとしろよな!!」
「一號くん、テンション高いね」
「あったりまえよ!!さぁ〜〜ぱ〜〜っとやろうぜ!!」
「そうだね」
「おいおい、暴れるんなよ。蓮也!!」
「ウルセェ、司!!」
「やれやれ、勘弁してほしいぜ」
「壬午!!喋ってないで、抑えるの手伝えよ!!」
「嫌だね…」
「おまっ!!」
とても楽しそうで賑やかだ。俺もその賑やかさに混じり、楽しんだ。実に新鮮で、感じたことのない高揚感に満たされた。
日常という日々は続いていく。
そんなある日、ペーパーテストが終わって1週間が経とうとしてた時、少しずつ違和感を感じ始める。
その正体は、すぐにわかった。
「ねぇ、最近、生徒が多いと思わないかしら?」
「ああ、そうだな」
「なぜかしら?」
「そんなことぐらい、北条ぐらいわかるだろう?」
「…念の為よ、確認は大事でしょ?」
「確認ね…」
北条は確認だと言ってはいるが内心、合っているか心配なだけだ。頭がいいのはいいことだが、頭が良すぎるあまり、完璧な回答を求めてしまうのは 悪い癖だ。
今すぐにでも直してほしいところだな。
「なら、まず北条の答えが聞きたいな…」
北条は俺を睨みつけるがすぐに口を開いた。
「私たちは意図的にAクラスとBクラスとの接触を避けられていた。けどその目的が達せられたから、その必要性がなくなり、こうして徐々に姿を見せ始めたっとところかしら…多分……」
最後に不安な心が漏れていたがまぁ、ほぼ正解だ。
「そういうことだな。ペーパーテストが終わり、わざわざ接触しないようにする必要性がなくなった。むしろここから、積極的に関わってくるぞ。だって…」
「すでにクラス同士の戦いは始まっているから?」
「……、ああそうだ」
そうもうすでに戦いは始まっている。そして俺はなんとしても6月と7月の試練には最高成績を出さなくてはいけない。校長先生とのもう一つの条件にそれが関わってくる。
俺はあえて、その場にいた北条にも言わなかった条件はそれは……。
前期、Cクラスで6月と7月の試練を最高成績で残すこと
実に難易度高い条件だったが、まぁ不可能ではないので受託した。
帰り道途中、広場に集まり、演説している生徒を見つける。たくさんの生徒が円を囲うように集まり、盛り上がり、それは白熱していた。
「みんなで一緒に乗り越えよ!!力を合わせれば、私たちは無敵!!みんな私がついてる!!みんなで頑張ろう!!」
『お〜〜〜!!!!』
「なんだあれ?応援団か何かか?」
放つ一言一言が
もう少し見てみよう。
「じゃあ、みんな〜〜解散だよ〜〜〜」
その言葉とともに、生徒たちは散っていった。
「ふぅ〜〜疲れた」
「お疲れ様です」
そう言って、水を手渡す。
「ありがとう。真也くん」
「いえ、仲間として当然なことをしたまでです」
「それにしても、みんなよくまぁ、聞いてくれるよね。無駄な雑談を…」
「我クラスメイトのほとんどがあなたに心酔しているのでまともに考える脳を持ち合わせていないのですよ」
「そう言ってあげないで、人間は弱い生き物。弱い生き物は強い生き物に縋りたくなるのは本能よ」
「そう、ですね」
「さぁ、帰りましょう」
そのまま二人は去っていた。
「なかなか物騒な言葉が聞こえたけど…」
あの二人、確かどこかで見たことがある。あ、そうだ、帰り道で待ち伏せしていた二人か。これは、思ったよりも早く、クラス同士の競争が起こりそうだな。
それにあの演説は一体なのために……。
ダメだ、情報が足りない。
「何も起きなきゃいいだが…」
そんな不安は油断をしている時に起きた。
それからさらに1週間後、5月16日ごろのことだった。
特に特別といったこともなく、時間が過ぎ、普通の高校生活を過ごしていた。
「今日なんか、騒がしくないか?」
「赤木くん、知らないの?」
「え?」
「その顔、本当に知らないのね」
どうやら、何かが起こったらしいが全く知らない。
だが、周りの反応を見る限り、皆知っている様子が窺える。
つまり、すでに学校中に知れ渡っているということだ。
「暴動が起こったのよ」
「暴動?」
「ええ、まぁ簡単にいうとケンカね」
「なるほど、一体誰が?」
「……一號くんとBクラスの生徒よ」
「なるほど…それは大変だ」
一號くんとBクラスの生徒の暴動はすぐに全生徒に広まった。
そしてこの事件は先生すら動かざる追えないほどに発展した。
「俺はやってねぇぞ!!言いがかりだ!!」
「いいえ先生、僕は確かに暴力を振るわれました。見てください!!この傷の数々を…」
二人の生徒がとある先生に対して意見をぶつけ合う。
お互いに必死に意見を述べ、先生はふとため息をついた。
「この件に関しては、学校側で厳重に処罰する。君たち二人には謹慎の命じ、許可が出るまで寮から出ないこと。いいな?」
「あ、はい」
「く…はい」
二人は渋々返事をする。
そしていつも通り、授業が行われた。
「本当に馬鹿みたいね」
「へぇ珍しく、お怒りのようで。悪いもんでも食べたか?」
「からかわないで。私はただ、この状況が気に食わないだけよ」
「状況?」
「この暴動はきっと学級裁判になるわ」
学級裁判、それはこの学校に存在するシステムの一つ、お互いの代表生徒を2名選出し、どちらが悪いかを議論するシステム。
証拠や事件の再現、推理を元に議論した末に先生側が判決を下す、言うなればこれは裁判を学校のスケールに圧縮したミニ裁判みたいなものだ。そんな北条さんの考えは確かに納得のいくものだ。
相手の生徒さんは知らないが、一號は気が強い性格だ、そう簡単には引き下がらないだろう。
ただ問題なのが相手がBクラスということだ。
これは果たして偶然なのか、もしこれが罠なら、そもそも学級裁判を応じない方がCクラスのためにはなる。ただ、それでは今は良くても、必ず後悔する結果を導く。
「学級裁判になるなら、代表二名を選ばなくちゃな」
「ええ、そうね」
怒り、もしくは執念、そんな感情を北条さんから感じた。
そして北条さんの予想通り、次の日、学園長の許可のもと、学級裁判が行われた。
行われた場所は『第3会議室』。
そこには立会人としてまさかの生徒会長の西条斎と書記の茜が訪れていた。そして、Bクラスからは被害者である
Cクラスからは加害者である一號蓮也とCクラスの代表として北条璃と赤木奏馬が同席した。
「それでは学級裁判を大まかなルールを説明します。これは計3回行われ、その審議を待って判決を下すルールになっており、今回の立会人は私、生徒会長、西条斎が勤めさせていただきます。議論の時間は十分にあります。あ互いの意見、証拠を提示し、悔いのないように、議論を行なってください。説明は以上です」
生徒会長の立ち合いのもと行われる学級裁判はその場の空気がとてもピリつていた。
特に北条さんは……。
「それでは、第一回学級裁判を行います」
こうして1回目の学級裁判が始まった。
その時の北条さんはなぜか、表情が暗かったことを俺だけが気づいていた。
ーーーーーーーーーー
『公開情報』
・学級裁判
代表生徒を2名選出し、議論を行い、その詳細を明らかにするシステム。
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