天才達が集まる高校で俺は普通の高校生活を送りたい〜〜〜でも送れないんです
柊オレオン
第一章 新しい高校生活の始まり
プロローグ 入学式
明日、俺は高校生になる。
夢にまで見た普通の高校生に、なれるのだ。
「はぁはぁはぁはぁはぁ」
胸の鼓動が止まらない。
今にも明日にならないか、期待をしている。
そんな輝かしい心を……。
持ちたかったな。
「ど、どうして…俺の人生計画が」
高校をしっかりと自分で決めていれば、親に任せずに、自分の目で見て、確かめて決めていれば、こんなことにはならなかった。
明日、俺は天竺高等学校に入学する高校生、あの天才が集う名門校だ。
天竺高等学校、それは東京に位置する名門校らしい。
厳しい書類検査や面接、難題を受け、その狭き門をくぐった者のみが入学できる、まさしく天才が集う名門校。
そんな高校に受かったしまったのだ。
ー名門校に向かうバス内ー
想像としては高級感のあるバス内で一般人は決して乗ることのできないそんなイメージがあった。
だが、周りを見渡す限り、普通のバスのようだ。
「ふぅ〜」
胸に手を当てながら、呼吸を整える。
少しでも緊張を和らげようとすると、一人のおばあちゃんが困った様子であたふたしていた。
よく見ると、顔色が悪く辛そうだ。
周りを見渡す限り、気づいている者は何かいるようだが、目を逸らす。
助ける気はないらしい。
「おばあちゃん、大丈夫ですか?よかったら、座ってください」
「あっ、すまんねぇ〜」
「いえいえ、そんな、困った人がいたら、助けるのは当たり前ですから」
一人の学生服を着た女子高生がおばあちゃんに近寄り、席を譲った。
そんな自然な笑顔で接する姿はまさしく女神、そんな印象を受ける。
まぁ、俺が話しかける前に行ってくれて助かった。
しばらく、時間が経つとバス内でアナウンスが鳴り響く。
『次は天竺高等学校前〜〜』
そして、天竺高等学校前でバスが停車する。
扉がゆっくりと開き、それと同時に制服を着た生徒達がバスから次々と降りていく。
当然、俺も降りた。
そして目の前に広がるのはあの天竺高等学校の大きな正門。
「思った以上に広いな…」
どこを見渡しても、整備された建物。一切の汚れはなく、印象としてはかなり綺麗だな受けた。
「本当に大丈夫かな…」
天竺高等学校はほとんどの情報が、どのようなカリキュラムで授業が始まるのか、どんな行事があるのか、全ての情報が非公開になっている。
事前に渡された情報としては、面接内容のみだった。
それほど、この高校は情報に対して敏感なんだ。
「俺は、ここで新しい人生が始まる…」
俺は新たな一歩を踏み出し、正門をくぐった。
ー入学式ー
1年生の皆は体育館に集められ、校長の挨拶や校歌など普通の高校のように事が進んでいった。
そして生徒会長挨拶、一人の男子生徒が壇上に上がる。
整った佇まいに風格のある雰囲気、誰もが一目で只者ではないと気づいたと思う。
「私は現・生徒会長の
顔色を変えず、生徒会長は壇上を静かに降りる。
威風堂々とした佇まい、まさしく生徒会長、きっとたくさんの困難を乗り越えてきたからこそ、今の姿がある。
そんな、感じがした。
そのまま入学式が終わり、新1年生のクラス発表が行われた。
1年生のクラスは全部で3クラス。
1年A組、1年B組、1年C組の3クラスで俺は1年C組の欄に名前が記載されていた。
そしてそのまま、各クラスに分かれた後、担任の案内に従い、教室に向かった。
ー教室内ー
完備されたエアコン。綺麗に整った机と椅子、縦横幅も広く、堅苦しさもない。
まさしく、完璧な教育環境と言える。
こんなところにいるのは罰当たりな気がするけど……。
そのまま出席番号に沿って、席に座る。
俺はあ行なので、席が前になると思いきや、自分の番号は15番だった。
みんなが席に着くと、担任の先生が教卓の前に立つ。
長い黒髪に鋭い目つきにこの場にいる生徒達に緊張が走る。
「皆、席についたな。よし、ではまず、私の名前は
強い言葉に一部の生徒が弱腰を見せる。
もちろん、俺もその一人、だが今目の前にある光景には驚かざる終えない。
俺は一部の生徒と言った、つまりこのクラスの半分以上が堂々としている。
それが余裕なのか、慢心なのかはわからない。
さすが天才が集う名門校、生徒の質がそこら辺の高校の数段も違う。
しかも、よく見るとテレビで見たことがある人物もいるし、俺、こんなところで生きていけるのかな。
突如の不安に駆られるが、そんな不安は菊池先生の言葉でかき消される。
「まず、この天竺高等学校の成績はクラス成績と個人成績に分けられる。言葉通り、クラス成績はクラス全体の成績、個人成績は個人の成績だ。我が校では中間テストや期末テストはなく、その代わり、6月と7月に2回、題材に合わせた試練が行われる。この2回のチャンスがお前達の全体の成績、個人の成績に直結する」
その話の途中、一人の生徒が手を挙げる。
「すいません。菊池先生!」
「なんだ、
「その6月と7月に行われる試練の詳細の日付は決められていないのでしょうか?」
「ああ、決められていない。ただ必ず、6月のどの日にか一回、7月も同様だ。質問は以上か?」
「はい」
「では、説明の続ける…」
こんな雰囲気で質問をした五十嵐学、一見、平凡そうに見える体つきだが、あの場での発言からして、頭は回る方なのかもな。
……友達になれるかも。
「基本的な成績はこの二つのみだ。そして、この天竺高等学校には年末に進級試練がある。そこでもし、成績を下回れば、容赦なく退学となる。これはクラス成績でも同様の処罰となる。つまり、クラス成績での基準を下回れば、全員退学だ。」
その言葉にどよめき、表情を妾にする一部の生徒達。
もちろん、俺だって驚いた。
だって、この歳での退学はこれからの人生にとってかなりのハンデを負うことになる。
けど、それ以上に一切の動揺を見せない生徒の方が気になってしまう。
まるで、最初っから《このルール》を知っているかのような……。
「静かに聞け!だが、安心しろ。クラス成績での退学は我が校に始まって以降、出た前例はない」
その言葉に安堵する一部の生徒達、だが菊池先生の口からさらに……。
「だが、個人成績での退学は毎年、出ている決して気を抜かないように」
追い討ちのような言葉に再び気分を落とす生徒。
この高校、もしかして相当やばい?…いや、そもそも名門校だ、やばいのは当たり前だ。
「それでだ。優秀な者であれば、既に気づいているかもしれないが、そもそもクラス成績と個人成績に一体、どんな意味があるのか、このシステムが必要なのか、そんな疑問が浮かんだだろう。だが、このシステムこそ、貴様達、天才もどき共を
真剣な瞳で生徒達を睨みつける菊池先生。
どうやら、こっからが重要らしい。
そして再び菊池先生の口が開く。
少しでも『面白い』『続きが気になる』と思ったら『☆☆☆』評価お願いします!!
ご応援のほどお願いします。
ラブコメに発展するまで長い作品になると思っています。
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『公開情報』
・成績にはに2種類存在する。
個人成績とクラス成績:詳細は不明
・学年末には進級試練がある。
個人成績が基準を下回れば、退学
クラス成績が基準を下回れば、クラス全員退学
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