第21話 対峙(後半)

「誘惑なんてしてないし、詐欺師でも無いんだけど?」

「じゃあ女たらしですか?」

「なんでそうなる。」

何でこんなに敵対されるのだろうか?

花音が家に向かって数分も経たないで、ストーカーをしていた栞と対峙していた。

「ここ最近花音はおかしいんですよ。やたらとあなたの所へ向かうんですよ。恋人以上の家族なのか?と思うほどに。」

と、説明を聞いてみれば、確かにたらしに見える事もあるのかもしれないが、花音とは、学校から少し離れた所で合流しているから、あの近所じゃないと見ないはずなのに、逆方向のはずの栞が見ているのはおかしい。どっちかが情報を渡したか、前々からストーカーをしているかのどちらかだと思うけど、大体の頻度を知っているから、栞もストーカーの可能性が高い。

「もしかして、ここ一週間近く何処からか、視線を感じてたんですけど、もしかして栞さんなんですか?」

「そんなわけないでしょ。そんな事よりあなたは花音のなんなの?」

いっその事全て言った方が、誤解を生まずに解決出来るだろうか?いや、変な噂を流されたり、新たな誤解を生みそうだ。

そう考えていると、いきなり誰かが後ろから抱きついてきた。

「何しているんですか?お兄ちゃん。」

「ヒナ!?何でここに?てかお兄ちゃんじゃないって。」

「そんな事はいいんですよ。それよりこの人は誰ですか?もしかして前から言ってたストーカーさんですか?」

「ちょ、ちょ何言っているんだ?そんな事言った事ないだろ?まじで黙っててくれ。」

「前から私に気ずいていた?なのに黙っていた?何で。もしかしてストーカーされるのが嬉しかったってこと?」

「違うから。確かにストーカーには気ずいたけど、誰がしているのかはわからなかったから何もしなかっただけですからね?」

「今日はもう帰ります。」

「ねぇ、ちょっと、待って。誤解しないで。」

突然のヒナの登場にびっくりしたと思えば、今度は話をでっち上げられ、最終的には誤解をして引かれてしまった。

あぁ何でこうなるんだろうな。もしかして親父の再婚を聞いた時くらいだろうか?これからどうなるんだろうな。

と、オレンジ色の空を見上げながら不安に駆られるのであった。

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