運ゲースキル【スロット】を手にしたパチンカスの俺が魔王を倒すまで~神様だってサイコロくらい振る!~

かがみてん

惨敗そして転移

「終わった・・・」


 俺はそうつぶやきホームグラウンドであるパチンコ屋から出て歩き出す。


 今日は月1のイベント日であり、期待と夢を抱き朝から並んだのだが結果は7万負け。


 なんでだ・・・なんでだぁぁああああああ まだ14時だぞ ありえん ありえんだろ。


 日雇いで稼いだ7万が一瞬でなくなった。


 昼食は当然食べていないのだがその事実を前に不思議に腹はすかなかった。



 ◆



「アットホームな職場。時給950円か。期待値ねえなあ」


 家につき、ベットで寝転がりながらスマホを見て仕事を探した。


 とにかく時給がよいこと。そして即お金がもらえるような仕事が望ましい。


 なんてったって所持金715円に銀行残高13円なのだ。


 おまけに借金は100万。


 とにかく即金な仕事とスマホを操作する。


「あーあ。100億円くらい降ってこねえかなあ」


 そんなありえもしないことをつぶやいていると、ひとつの求人広告が目に入る。


「なんだこれ」


 広告には【急募!勇者よ集まれ! あなたも異世界を救ってみませんか? 未経験でもOK 担当職員が丁寧にあなたをサポートします】とあるが。


 詐欺広告か、それとも何かのイベントの係を募集しているのか。


 なんとなくその広告が気になった俺はスマホをタッチする。


 すると突然にスマホが謎に発光し、眩しさに目を瞑った俺が目を開けるとそこは真っ白な謎の空間だった。


 突然のことで何が起きたのか把握できない。

 夢かと思い頬をつねってみるが普通に痛いし、スマホが光って拉致なんて出来るわけもない。


「まさか・・・これは・・・異世界転生か・・・・」


 異世界転生については少し知っている。最近はそういうものもスロット化してるし。

 というか俺死んだの?なぜ?


「安心してください。あなたは死んでいません」

「うわぁびっくりしたー」


 俺が戸惑っているといきなり背後に現れたスーツ姿の女性にそう告げられた。


「ここは異世界救済機関と言って元ある世界に住むものにはどうしようもない問題を別の世界に住むものに解決してもらい、世界秩序を守っていくことを目的とした機関です」


「あーそうなんですか。よくわかんないんですけどとりあえずいくらくらい融資できますか?」


「ゆ、融資?あなたはなにをいっているのですか?」


 スーツの女性はボケっとした顔でそう聞き返す。


「え?今異世界消費者金融機関とかいってませんでした?。いやー俺、借入マックスで困ってたんですよ。まさか異世界から金を借りられるなんて思ってもみませんでした。あ、やっべ免許証持ってきてねえわ。」


「・・・」


 スーツの女性はキョトンとした顔でこちらを見ている。

 やっぱ免許証なかったのはまずったか。


「違います!。異世界きゅ・う・さ・い機関です! お金なんて貸せません!」


 スーツの女性は少し怒ったようにそう叫ぶ。


「えー。じゃあもう帰してくださいよ。マジで働かないと俺やばいんですから」


「ふっふっふ。そんなあなたに我々からお仕事を頼みたいんですよ。ある世界をあなたに救ってほしいんです!その世界はあなた達の世界でいうゲームのような世界です。魔法とか色々あるんですよー。どうです?ワクワクしませんか?」


「いや特に」


「なんでええええ」


 スーツの女性は話が違うとか日本人はこれでみんな乗り気になるはずなのにとかブツブツつぶやいている。


 俺、ゲームとか魔法とかに憧れはねえんだよなあ。


「ま、まあどっちにしろあなたに拒否権はありません! なんてったって自ら求人にタッチした時点で契約は完了しているんですから。をーほっほっほ」


 うっぜえなこいつ。


「はー?どういうことだよ。俺は興味本位でタッチしただけだっつうの。俺を早く家に帰せ」


「無理ですぅ。お仕事が終わるまで帰しませーん。べろべろばー」


 あー殴りてー。今まで人なんか殴ったことねえけどこいつだけは殴りてー


「っと。ふざけるのはここまでにして、あなたには魔王を打ち倒し異世界を救ってほしいのです。お仕事として。」


「無理だっての。冷静に考えてみろ。俺は別に格闘技や剣術とか習ったこともねえ当然魔法なんかはもっての外の一般人だぞ?どうやって魔法が使える異世界人でもどうにもできない魔王を倒すんだよ。」


「それは我々がサポートします。広告にも書いていたでしょう?」


 確かにそんなこと書いてたような気もする。


「サポートって具体的にどうサポートしてくれるんだ?あんたも一緒についてきてくれるのか?」


「我々は世界に直接干渉することはできないのでそれは無理です。なのであなたに1つ能力を与えます。」


「能力?それがあれば魔王を倒すことが出来んのか?」


「もちろんです!」


 スーツの女性は笑顔でそう答えた。

 なんかいい感じで乗せられてるような気もするんだが、仕事しなきゃ帰さねえってことならやるしかねえか。


「わかった。やってやるよ。ただ給料を教えてもらってねえ。魔王とかいる世界なら当然それなりに危険があるはずだ。給料次第では絶対にやらねえぞ俺は」


「給料っていうか。報酬というかたちですが・・・・なんと願いをひとつ叶えちゃいます!」


 え?マジ?

 毎日設定6とかアホみたいに回るパチンコとか打てるの?


「うおっしゃあああ!。行くぜ異世界。待ってろよ魔王。 おいあんた!さっさと飛ばせえ!」


「がってん承知!」


 俺の足元に魔法陣が現れ、俺の体全体を光が包んだ。


 待ってろ。異世界の住人よ


 今勇者様が魔王を倒してやるぜえええええ。

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