神様の管理する世界

low

0話 死神の青年

「シロナちゃんは天使なんだよね?」

「うん。そう」

「へぇー。あ、でも僕が想像してた天使とはちょっと違うかも。白い翼とか、頭の上の光る輪っかとかはないんだね?」

「翼はある。でも普段は邪魔だからしまってるの。輪っかはアクセサリー。式典の時とかにつける」

「じゃあさ。天使ってみんなその白いワンピース着てるの?」

「これは制服だから仕事のときはみんな着てる」

「なるほどね。要は仕事着って訳か。それは結構天使らしいと思うよ。けど、それ肌寒くない? 小さい子は体が冷えやすいからね。もっと暖かい格好をしないと……そうだ! 僕が上着を貸してあげよう」

「ねぇ…」

「シロナちゃんには大きすぎるかもしれないけど、ないよりはマシだと思うから」

「ねぇ!」

「──ん? 何かな?」

「どうしてわたしの服のすそをめくり上げているの?」

「……(にっこり)」

「?」

「あー、これはね。僕の故郷の習わしで、『これからどうぞよろしく』、って意味だよ」

「そうなの?」

「うん♪」

「これからどうぞよろしく」

「あはは、ご丁寧に僕の服の裾をめくり返してくれてありがとうね。これからどうぞよろしく──あ、そうだ。帰ったら僕の代わりにアイリス様のスカートもめくってくれないかな?」

「? どうして?」

「なぜかあの人……じゃなくてあの女神様、僕を頑なに近づかせてくれないんだ。近づくと、まるで『変態』でも見るかのような形相で『天罰』を落としてきて……。だから代わりにシロナちゃんにやってもらおうと思ってね」

「うん。分かった」

「ふふ、ありがとうね。思いっきりだよ? 別に見たい訳じゃないけど、下着がばっちり見えるくらいまで。別に見たい訳じゃないんだけどね。あ、ところでさ──」



「『死神』の仕事って、何をすればいいのかな?」

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