71 ミュージシャンは食べていけてるのか?
ミュージシャン志望だったけど、楽器も弾けず歌も歌えない windrain でございます。
私が生きてきた間に、音楽業界がどれほど変化してきたのかを振り返りながら、現在のミュージシャンの収入状況について考えてみたいと思います。
1970年代のイギリスでは、プログレッシブロックが流行っていたんですが、著名なバンドは毎年のようにアルバム(当時はLPレコード)をリリースしていました。
20代前半の若くクリエイティブな人たちが多かったとはいえ、もの凄く売れていてツアーもやっているのに、なぜその合間を縫ってまで楽曲を作って、録音してリリースしなければならなかったのでしょうか?
レコード会社に搾取されていたからであろうと思われます。
一つの証言があります。キング・クリムゾンというバンドのロバート・フリップという主催者によると、「ツアーはプロモーションの一環だから、費用は全てアーティスト側の負担による」という契約になっていたそうです。
勿論チケット代はアーティスト側に支払われてはいたのでしょうけど、それだって売りさばくための手数料をかなり搾取されていたのではないでしょうか。
全てのミュージシャンの契約がそうであったとは限りませんが、少なくともミュージシャン側に不利な契約が多かったであろうことは、想像に難くありません。
挙げ句の果てには、レコード会社の売却に伴い、勝手に楽曲の著作権ごと売却されたとして、ロバート・フリップは長年訴訟で争うことになりました。
そんな時代を経て、レコードからCDの時代に変わると、アルバムに収録可能な時間が長くなりました。
アナログレコードが45分程度だったのが、CDだと74分まで収録可能になったことで、収録曲数を増やさなければならなくなったのは、アーティストの寡作化の一つの要因になったのではないでしょうか。
そして配信の時代が到来します。それまでLPやCD1枚当たりいくらという報酬が、1ダウンロード当たりいくらということに変わりますが、ここまではまだ理解できます。
時代がさらに進んでサブスク(月額料金の支払いによる聴き放題)が主流になると、アーティストに還元される金額は1ストリーミング当たりいくらということになりますが、これがとんでもなく利益率が低いようです。
1回の再生当たり0.01円あれば良い方だというのです。
CDだとだいたいアーティストに1%、作詞作曲者に3%の報酬が支払われるようですので、自作の曲であれば合計で売り上げの4%がアーティストの取り分になります。これでも少ないと思いませんか?3000円のCDが1万枚売れても120万円ですよ。
漫画ですとコミックスの印税(=漫画家への報酬)は10%だと言われてますので、それに比べると大分低い利益率です。
これがサブスクだと、1万回再生されても100円ということになってしまいますので、これではミュージシャンは暮らしていけません。
それでもサブスクを解禁するアーティストが多いのは、より多くの人に自作の曲を聴いて貰う機会を増やすためだそうです。
それがダウンロードやコンサートへの動員に繋がれば、そっちで儲けが出るということになるわけですが、そのためには結構ネームバリューのあるアーティストにならなければ無理でしょう。
ただ、以前は楽曲をリリースするにはプロダクションやレコード会社に所属しなければならなかったことを考えると、今は YouTube チャンネルを持っていてバズれば、プロダクションの方から寄ってくる(多分)時代になったというのは、大きな変化だと思います。
しかし、どれだけのミュージシャンがコロナ禍でライブ活動ができなくなって、夢を諦めて音楽界から去って行ったのでしょう?それを考えると胸が痛みます。
なお、こういう話をするときに避けて通れないのが JASRAC の問題ですが、JASRAC と信託契約をした場合に「利用に基づきどれだけ支払わなければならないか」はわかるのですけれども、作曲者などの権利者に対してどれだけ分配されるのかがはっきりしていないため、ここでは触れないことにしました。
●本日の猫
猫の集会所で、いつも「チャチャ(オス)」が寝ているところに、今日は「カミナリ(オス)」が寝ていました。
こっそり写真を撮ろうとしたら、気づかれてしまいました。
近況ノートに写真を貼り付けておきます。
↓
https://kakuyomu.jp/users/windrain/news/16817330653830227192
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