第44話 ラセンニマツモノ

カツカツ


暗闇の中をカゲルの足跡だけが喋ることをやめなかった。それはネジが外れ、壊れたように喋り続ける老夫、もといずっと俺のターン老人のように音を走らせ続けた。


その音はカゲルと同時、または少し早く、高音の美声を吹き出し膨大な空間をカゲルに伝えるのであった。


「広いな、、幅だけでも1キロ以上はある。」


二つの異世界を繋ぐトンネル幅が1キロしかないのは我々から見たら少々狭いと感じるが、それは空間内にいる観測者は彼一人であることを示している。


そして、階段を千ほど下ったあたりだろうか、もう一つの気配が空間に住みついたのは。


「だれか、、?いるのか?」


カゲルの声はそれを捕捉するために飛んだ。


そこから500下ったところに、気配の主がいるようだ。主はこういった。


「悪魔の世界へようこそ。俺は案内人のレオパード、、。悪魔の世界は危険が沢山、、。人喰い植物を餌にする竜を主食とする死神を好物とする混沌をすする魔女などなど、、。1人では満足な五体で進むことも憚りません。是非とも私めにお任せください。安全で安心なクルーズを

カゲル様にお届けいたします。」


黒いたてがみを靡かせ、2メートルはゆうにある巨躯を闇に隠し、レオパードは言った。


「案内人、、?目的はなんだ?俺を助けたところでお前にメリットは一つも無いじゃないか?」


「はい、、。あなた様が持っているクロックバレットの弾を頂きたいのです。なに、私銃なるものに憧れがありまして、、。ねえ、我々野生を震え上がらせる恐怖の象徴、、。それを集めて夜な夜な愛でるのが趣味なのでございます。

何卒、、、。」



カゲルのいかにもな質問に対し、フローチャートを辿るようにレオパードは答えた。


「信用できない、俺は行くよ、、。」


カゲルが駆け出すと足元に違和感が生じた。

階段がうねうねと動き出したのだ。


「カゲル様!!お静かに、、!!これは階段ではございません、、!!螺旋蛇なる悪魔の背にございます!!!どうか私の背中に!!」


グワン!!!


バランスを崩したカゲルはレオパードの背中に飛び乗った。レオはそのままヒョウのようにひらひらと蛇の背を飛び、わずか数飛びの間に悪魔の世界に飛び降りた。


「カゲル様、、。おわかりいただけましたでしょうか?これが数千の極悪人が日々騙し合う

悪魔の世界にございます。少々気を抜きますと、、。」


ドウン!!!


ヤミワダの大地からモグラの弾丸が飛び出しカゲルの頬をかすめた。鮮血と冷汗が競うようにが頬をなぞる。


「命がいくらあっても叶いません。是非私を案内人に、、。」


「信用できるのか?証明してみろ、、!!レオパード!!」


カゲルは不安の作り出した影に臆病な自分を見たように赤面し咆哮した。


「では、、、カァァァァァァ!!!!!!」


地の底から天涯まで稲妻のような音が走ると

悪魔の巣は気の抜けたコーラのような澱みを残し沈黙した。



















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