第42話 カンゼンハイボク
神龍教会の屋上には無数の鳥類が飛んでいた。枯れ果てた老害の死骸に幾ばくか残った死肉が彼らの目当てだった。
空を覆うような鳥たちの暗幕の下でカゲルは大の字で空を仰いでいた。
「負けた、、。完全に、、、。何も、、
何一つできなかった、、。」
カア!!
カゲルの呟きの横でカラスが肉を啄む。
カアカアカア
次はお前の番だぜ。とでも言うようにカゲルの方を向き目玉をなめらかに動かした。
「ナナゴウ、、、!!ナナゴウ!!!」
嗚咽しているカゲルの横でカラスはひとしきり肉を味わった後、
「仕方がねえ坊やだな…。ママにハンカチの使い方は習わなかったのか…?」
ブラディの声でカゲルに問いかけた。
「⁈⁈ブラディ⁈どうして?なんで?」
「カラスってのは、こっち側じゃあ空を飛ぶ影
と呼ばれてる…。それを通して能力者なら会話は可能だ…。神龍にこっぴどくやられたようだな?」
「ああ、、1ミリも届かなかった、、。無限を捕まえるような差があったよ、、。」
「少しはマシなレトリックが使えるようになったようだな。俺は一つ下の層にいる…。そこで
話をするとしよう…。」
フゥゥ
タバコを吸った音がした。
「それと相棒、これだけは言っておきたい…。
俺は敵じゃ…。」
「わかってるよ、、。」
カゲルは語尾を遮った。その空白に目掛けて
二人の信頼が一気に収束し、形となり脈打った。
「相棒こい!!神龍に一撃見舞ってやろうぜ!!!」
「ああ!!!」
カゲルの意気に怯え、死神達は飛び去った。
ここにバディは再結成された。
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