第30話 コクエンノホウイモウ
「なんて体たらくだ!!!」
バン!!!
警視庁黒焔の影帽子対策本部の机が揺れた。
アザラシに警察服を着せ数十年叩き上げたよう
な図体のバスダブ長官は人の言葉で吠える。
「テメェらがやられっぱなしのせいで、警察の面子は丸潰れだ!!!テメェらには高え金払ってんだ!!なぜ炎の一つや二つ吹き消せねえんだ!!?」
500平方メートルはある会議室全体に飛沫が張り付くような声量であった。
「まあまあ、、。落ち着きましょう長官、、。」
ファビオは落ち着き払ったイギリス紳士が歩くように言葉を一つ一つ歩かせた。
黒ずくめのスーツにシャツ、長い黒髪の中に
見せる雪のような肌は血の気がなくヴァンパイアを思わせた。
「テメェファビオ!!これが落ち着いていられるか!!」
「長官のお気持ちもお察ししますよ。だが
俺たちはやつを追い詰めている、、。
すでにヤツは俺の影の中です、、。」
紫の蚯蚓が揺らめく。
「気味の悪い野郎だ、、。次、焔の野郎を逃したらシャドウワークスは解散させる!!結果で示してみろ!!」
金切り声はファビオの横に座るシャドウワークスメンバーにも突き刺さった。
「物騒な話だな…。」
カゲルに聞こえる程度の声で囁くブラディ。
一度世界を救った男の声は低く会議室に響き
集まった数十人の捜査員達の視線を攫った。
「長官…。黒竜を退治したことは報告したはずだ…。黒焔の野郎とは次でカタをつける…。
俺がミッションを失敗したことがあったか…?」
バスダブは金髪の中の青い瞳に映る泉の中に
今にも喉笛に飛び付かんとする泉の主の眼光を
見た気がした。
「ブラディ、、テメェが言うなら信じるしかねえな、、。しかし!!救世主面するのは今回までだ!!いいな!!!」
「ああ…。」
銃弾を胸に装填するようにブラディは答えた。
「話は終わったようですね、、。
では、黒焔の影帽子討伐作戦の詳細について
私、クラウストロフォビアから説明します、、。」
「ああ、聞こう、、。」
バスダブは手を組みファビオを見た。
「まず、あなた達には死んでもらいます、、。」
「、、、⁈」
グシャァ!!
飛んできたヴァズギアの拳は長官の頭部を吹き飛ばし、一寸すり替わったようにそこに居た。
「革命だァァァァァァ!!!!!!」
クマの咆哮は警視庁全体に壁を突き抜け襲いかかった。
「ブラディ!?何がおこったの⁈」
戸惑うカゲルにデカいマシンガンを担ぐブラディ。
「見ての通りだ…。シャドウワークスは警察を
乗っ取る…。お前には最後まで付き合ってもらうぜバディ…!」
ガガガガガガ!!!!
マシンガンは数百人の心臓の前で一度止まった。
「1秒やる…。念仏を唱えな…。」
会議室は血に染まった。
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